いつも間違えるのだが、なんで邦題は「ベストキッド」なのだろう。今回の作品もそうだが、別にカラテキッドのままでもよさそうな気がする…。おそらく、日本人が思う「空手」とは違うとか、そういうことなのだろうか。
さて、今回の作品だが、何がすごいといえば、とにかくジャッキー・チェン。何かに疲れていそうな、どこにでもいそうなオッサン役が、ここまでうまく演じられる人だったとは。。。なんだかその点に、やたらと感動してしまった。
実際には50代後半の俳優さんとしてそれが自然な姿であるわけで、こんなことに感動してはおかしいのかもしれないが、わたしにとっては「笑拳」「酔拳」「蛇拳」、つづいて「プロジェクトA」「スパルタンX」…時代がくだってアメリカに進出してからは「シャンハイ・ヌーン」なども見た。どれを見ても、ユーモラスで、熱血で、好青年。そんなイメージをわたしはずっといだきつづけてきた。
この作品においてジャッキー・チェンは、アメリカからしぶしぶ北京に引っ越してきた少年が、母と住むアパートの「管理人のおじさん」である。なりゆきで少年に拳法を教えることになるが、ほんとうは輝かしい過去があったなど水戸黄門の印籠的な「実はこの人は〜」みたいな話には、いっさい行かない。悲しい過去に閉じこもってしまいそうな自分をおさえている、普通の男性である。
少年(演じるのは俳優ウィル・スミスの息子)を、自分が少年時代に父に連れていってもらった場所に案内したり、教えてもらったことを再現する。そして自分も生きることへの勇気を強めていく。オッサンと少年の、両方の成長物語だ。
いや〜、ひさびさにいいものを見た。