2010年のアメリカ映画、主演はマット・デイモン。
まずは三つの話題が別々に描かれ、最後にそれらがひとつになる。
フランス人女性ジャーナリストは太平洋の島国で買い物をしているところを津波に襲われ、奇跡的に一命を取り留める。だがその臨死体験を経て、いままでと同じものの見方をすることができなくなっていた。
アメリカ人の労働者(マット・デイモン)は、かつて霊能者としてウェブサイトを開設していたこともあったが、現在は兄がいくら儲け話を持ちかけても、かたくなにそれを拒否していた。
ロンドンの少年マーカスは、一卵性双生児で数分違いで生まれた兄のジェイソンを事故で一瞬にして失い、周囲の大人たちに心を開くことなく、もし霊能者というものがいるのならジェイソンの言葉が聞きたいと、それだけを考えて生きていた。
3人は、ロンドンで出会うことになる。
公開ほどなく東日本大震災が発生したことにより、上映が打ち切られたと聞いている。たしかに冒頭のシーンを思うと、3月当時の日本の状況では、無理もない判断だったかと。
作り方がちょっと「バベル」みたいだなと感じた。あれは南米と日本とアフリカが交互に描かれて、登場人物らが直接出会うことはなく、話の主軸はいちおう同じという構成だった。
もしや監督のクリント・イーストウッドは、バベルを見て「わたしならここでこうする」という思いでもあったのかと、邪推してしまった(^^)。
それにしても、マット・デイモンにこの役をやらせたというのが、キャスティングの判断においてかなりの勝負だったのではと思う。知的役柄、肉体派などの役が多い彼を、人生に疲れて、やっと得られそうだった女友達すら能力のせいで遠ざけてしまった、傷ついた役にあてた。
だが、見終わってみると別に違和感はなかった。マット・デイモンはたいした役者だ。