レンタルDVDで、去年公開の映画「東京島」を見た。木村多江がまぁ、想像よりすごかった。これまで脇役が多い人だったが、主役やったらおもしろいじゃないか(^^)。
結婚二十周年のヨットクルーズで遭難し、無人島に流れ着いた夫婦の妻が、主人公の清子(演:木村多江)。
夫は(映画の冒頭で死んでしまうが)、現地でいかに生き残るかではなくスケッチブックに延々と食べ物の絵を描いていくような性格で、それが清子には耐えられなかった。そんなある日、島には過酷な労働から逃げてきたフリーターと、密航するつもりで乗ってきた船から降ろされた中国人たちが流れ着く。
孤島でサバイバルといえば、少年たちの残酷な物語「蝿の王」が有名だが、この話はぞっとするという意味での恐怖はなく、滑稽さと狂気が適度にミックスされている。清子の言動や生き残るための「寝返り」は驚くほどだが、木村が見事に演じる。
「ケンタッキー」と叫ぶシーンは、映画史上に残ってもいいんじゃないだろうか。演技が、ではなくて、あんなシチュエーションをよく思いついたなぁと思う。原作にあるのか…?
原作は桐野夏生。何冊か読んだが複数の人の視点から別々のストーリーをつづる作風が多いので、映画の最後のシーンも「これほんとかな、これは誰かの思い描いた結末のひとつなんじゃないかな」と、勘ぐった。だがとりあえず原作をこれから読む予定はない。
木村多江を、これからも応援。