HuluにDark Cityという映画があったので、何となく見てみた。どうやらSFものらしいのだが、タイトルの通り、やたらと画面が暗い。見ていて少しして「あ、昼間のシーンがゼロだ」と気づいたのだが、登場人物たちにはその自覚があまりないらしく、主役の男にそう言われても、そうだったっけと、ぼんやりしている。
バスタブの中で目覚めた男。電話がかかってきて、緊迫した男の声が「きみは追われることになる」と告げる。助けたいと説明をつづけようとする電話の声をさえぎり、部屋の中に見知らぬ女の遺体を見つけた彼は、部屋を飛び出す。
いったい自分の身になにが起こっているのか。自分の名前すらわからないことに気づき、かすかな手がかりを組み立てつつ、自分の家とおぼしき場所にたどり着くと、そこには妻らしい女性がいた。彼女は夫に警察から疑われていることを告げるが、そのときすでに、彼は自分を追っているのが警察だけではないことに気づいていた。
けっこう、よい映画なのだ。
…最近、バットマンのシリーズ(バットマン・ビギンズにはじまりダークナイトライジングまでのもの)を少しおさらいしたので、暗い画面の映画にはなんとなく「おなじみ感」があるのかと思ったが、こちらのほうがだんぜん見やすいのだ。ストーリーもあっさりしていて、おそらくこうなのだと思われる方向で無理なく進んでいく。
冒頭で、医師役キーファー・サザーランドのナレーションにより、異星人らしき謎の存在が街に君臨していることは頭にはいっているので、おそらくその存在による情報操作か生活の観察が主軸なのだろうと、なんとなく想像ができる。
主演の俳優ルーファス・シーウェルという人は、とんでもなく顔が悪役なのだが(以前にも別の映画でこれは感じていた、というか、正直なところ悪役以外を思い出せない ^^;)、端正な表情ではあるがときに狂気に近い何かを「ちらっと」のぞかせる主人公に、うってつけ。
奥さん役のジェニファー・コネリーもまたなかなかよいのだが、最初は別にジェニファー・コネリーでなければいけないほどではないかと、思っていた。暗い街にいて何かを背負っているような女性は、ほかの人にでもできるか、と。だがラストシーン(ある場所)に立ったあの姿を見て、やっぱりこの人のこの表情だな、これはジェニファー・コネリーでないと…と、しみじみ。
テーマや画面が暗い割には、頭にすっきりすんなりはいってきて、そして最後には「ひかり」が見られる。お時間のある方はぜひ。