日本語は、表現の際に使われる文字の種類が多い。漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、そのほかこの二十年くらいで顔文字がかなり独自の進化を遂げてしまった。表現の質が追いついているかどうかはともかく、方法は増えているわけだ。たとえば数を数えたり順番を振るにも「いろはにほへと〜」「いちにっさんし〜」「えーびーしーでぃー」など、多様性がある。
さて、わたしがときどき通院している大きめ病院(救急対応)だが、各科に診察室が複数あり、名称をどうすべきか、あれこれ悩んでいるようだ。
もっとも診察室の多い内科は、かつて診察室を1〜4まででいったん区切り(5番目があると読みが「だいごしんさつしつ」になって、誤診のようだから)、そのあといくぶん飛ばした番号をつけていた。これでは混乱すると思ったのか、今年の春くらいに「診察室の番号はABCDE〜にします」と発表。
わたしは何の問題もないが、おそらく80過ぎくらいの方々や、ただでさえ耳が遠くて診察室の近くで名前や番号を聞き逃すまいとしている方々にとっては、「どれがエーなの、ビーなの、どこの番号を見ていればいいの」と、まさか老後に病院の待合室でアルファベットを見くらべる羽目になるとは、思わなかったに違いない。これはさすがに問題だろうと思っていると、あるとき「名称を変更します」と掲示が。
数字の名前にもどすのだろうとお知らせを見ていると、なにかよほど数字だけでは都合が悪いのか、あるいは意地なのか(^^;? … どうやら、何かアルファベット(その部分が内科を表すらしい)をつけて、そのあとに番号がくるようにしたらしい。たとえば、アルファベットがなんだったのかは失念してしまったが、仮に内科であるからNだとすれば「N-1番診察室で呼ばれますよ」と、スタッフに声をかけてもらった人は、頭のNを無視して番号を頼りに呼ばれるのを待てばいいわけだ。
いろいろな人がいる世の中なので多様性を重視したほうがいいとは思いつつ、本音では、「なんで最近こんなにめんどくさいのだろう」と思ってしまうことも増えてきた(笑)。
たとえば年号。わたしは西暦でものを考えるが、最近になって「この人(この施設、この窓口)は和暦を優先しているに違いない、だからあわせてあげよう」と気を遣ったつもりが無駄な努力だったり、冒頭では西暦と和暦が一緒に書かれていたらしい文章(冒頭以外は和暦)で「年号を省略した二桁の表示だから昭和に違いない」と読んでいたら話がわからなくなり、よく読んだら明治の話だったり。。。かなり混乱してしまうことも。
役所は立場があるので仕方ないだろうが、日常生活の日付記入では西暦に統一したほうが便利で誤解も少ないだろうと、まじめに考えてしまう。だが、うちの田舎の母(80代)がそうなのだが、和暦でしかわからない人が、けっこう存在しているし、西暦中心になったら、困ってしまうことだろう。
以前にもこのブログで書いたかもしれないが、2010年などの略で「10年×月○日」と書いてあった賞味期限を「平成10年なんて、こんな賞味期限があるのかしらっ」とスーパーで声を震わせながら店員さんに訴える高齢女性を見たことがある。たしかに、平成10年だとしたらとんでもない食品ということになってしまうが、その女性にしてみれば西暦を使うことがほとんどまったくないのだろう。ここで運がよかったのは、わざわざ書かれてもいない「平成」をつけて店員さんに告げたことだ。ただ「10年×月○日」と告げたら、頭から西暦と思って聞いている店員さんは、驚いてしまったはず。
さて、来月あたりまた病院に行くと思うが、診察室の名称は、定着しているだろうか。あるいはまた変更になっているだろうか。ちょっと楽しみだ。