この1年、いやもっと前からだろうか、ときどきHuluでトーチウッドを見ていた。これはイギリスのテレビ番組で(最終シーズンの10話のみはアメリカとの合作で舞台の半分はアメリカなど外国)、ドクターフーという子供向けの長寿番組の途中から出てきたスピンオフシリーズなのだが、内容はよりダークである。
ドクターフーのほうもHuluにあって、わたしはそちらのうち、近年再開したシリーズでディヴィッド・テナントが二代目ドクター(ドクターフー全体から数えると10代目)を演じたあたりまで、とくに愛するローズと別れて別々の道を歩むところまでは、見ている(そのあと少しスペシャル番組も残っているのだが、ローズが出ないならもう見たくないので、いまのところ未見)。
ドクターフーは長寿であり、もうどの宇宙にも自分以外いなくなってしまったタイムロードという種族の生き残り…という設定。気の合う地球人女性(コンパニオン)をともなって宇宙の隅々や時空を超えた旅をしている。内容は、どんなに危機に陥っても最後の最後に助かるという「安心してみていられるファミリー向け」の作りなのだが、この番組の途中で出てきたジャックという男性が、トーチウッドという番組では主役となる。当初、彼はただの(!?)未来人で、地球人かどうかすらわからないが、とにかくタイムトラベルをしつつ詐欺を行って暮らすような、わりと軽薄な人物だった。だがドクターとローズに出会った事件で、自分が迷惑をかけたことに気づき、少しずつまじめになっていく…のかと思ったら、遠く離れた未来の地球でいったん死亡、そのときわけあって一時的に超人になっていたローズにより生き返らせられ、以来、なにがあろうと死ねない体になってしまう。
ローズとドクターはそのまま去ってしまうのだが、ジャックは自力でどうにか近代のイギリスにもどってきて、それ以来(死なないので)現代のイギリスでトーチウッドという組織のリーダーとして暮らしているという話。
シリーズの1〜2は、宇宙人のテクノロジーがどうのという、わりとドクターフーらしさを残した話なのだが、2の最後で仲間がふたりも壮絶な死を遂げ、ただごとじゃないな、これでどうやって話をつづけていくのだろうと思いきや、シーズン3は暗ーい話。。。おまけに中盤で、最初からのメンバーがまたしてもお亡くなり。
大昔に宇宙人に脅されて地球の子供を生け贄として差し出していたことがわかった。どうやらジャックもその件にからんでいたらしい。数十年後、味をしめた宇宙人が数百万人規模の地球の子供たちを差し出せと脅してくる…というもの。子供たちを差し出すかどうか、差し出す場合は強制で連れ去るかと、場面は暗いし、まるで戦時中みたいな話。暗いよ、これ暗いよと思ったら、最後のシーズン「ミラクル・デイ」は、もっとすごかった。
ある日とつぜん、世界のだぁ〜れも死ななくなる。ところが世界でただひとり、何をされても死なない人間であるジャックのみ、怪我をしたら普通の人間なみに怪我が治らず、不死身ではなくなっていることに気づく。世の中はどんどん人口がふくれあがり「いままでの世の中だったらこれくらい病気だったらもう死んでただろう、の人たち」を、ぜったいに死んでもらえる手段で生きたまま殺害することに…おい、これ暗いよ、すごく暗いよ。
1シーズンを見るごとに何週間も休みつつ、少しずつ見終えた番組だったが、最初に宇宙人がどうのというストーリー展開だったことを思うと、誰もこんなの想像できなかっただろうなぁ。
おまけにゲストは豪華で、最終シーズンはイギリスとアメリカが半々くらいなのだが「最初に出てくるこのおっさん、ビル・プルマンが太めになったらこんな感じだよなー」と思ったら、本人だった。しかも最終話を見終えるまで、似ているだけで本人のわけがないと、まったく調べようと思わなかった…。かつては若手ハンサム俳優、インディペンデント・デイでは元パイロットの大統領だった、あのビル・プルマンが、出てしまうんだ、こういう役で。。。唖然。
シリーズが変わるごとにカメレオンのように変わる番組だったけれど、さすがに、もうこれ以上は作っていないようなので、ちょっとほっとしてみた(笑)。