2001年アメリカ映画。たった1日の話だが、見ている方がクタクタになるてんこ盛りの展開。
交通違反の取り締まりなどをしていた若手の警察官ジェイク(イーサン・ホーク)は、麻薬取締課に転属となる。ベテランのアロンゾ(デンゼル・ワシントン)について、実地で仕事を覚えていくことになるが…。
正義感あふれるジェイクと、汚いものとは汚くつきあうアロンゾ。どちらかがどちらかを理解する展開には、ならない。たった1日のうちに、どんどんとアロンゾの正体が見えてくる。ジェイクが染まるのか、対立して排除されるのか、あるいは…?
以前にも書いたが、デンゼル・ワシントンはキレてはじけた役柄がよく似合う役者になった。90年代の「ペリカン文書」、「フィラデルフィア」などに見られる真面目で知的な役柄、そして「戦火の勇気」のように残酷な事実を最後まで丹念に確認していく役柄もたしかによかったのだが、いまにして思えば、彼にしかできない役柄だったかどうかと考えると、決定的な代表作とは呼べない気がする。また「ボーン・コレクター」も、最後のほうでアンジェリーナ・ジョリーが演じた役柄との関係(微妙にロマンスを入れる)が、どっちつかずな印象を受けたことは否めない。
だが2001年の本作や、2004年「マイ・ボディガード」あたりの、キレ具合は非常によい。それまでの作品を見ていた人は意外性を覚えるだろうが、かえって自然で無理がないように感じる。
(実際、2001年の本作でデンゼル・ワシントンを見た人たちの当時の感想は、こういう役をやる人だったのかという、驚きが混じっていたように見受けられる)
映画に話をもどすが、このアロンゾ、そんじょそこらの悪徳警官とはわけが違った。ジェイクの正義感の対極をなす描き方だ。だがジェイクとて、何かあったら反対側にポキッと折れてしまいかねない危うさは、人間である以上つねに持ち合わせているはず。冒頭部分はさほど期待していなかったが、後半から俄然おもしろくなった。