今月にはいって体調が思わしくない日が多く、ねんのため検査してもらったが大きな原因があるわけでも食中毒など深刻な話でもなさそうということで、医師から「適度に気晴らしをして、少しのあいだ消化によいものを」と、くり返し言われている。食べ物の量と種類には気をつけているが、最近ちょっと気づいたことがある。
どうも、こんな体調不良時には、ごはん(おかゆ)よりパン食(小麦の食べ物)のほうが、わたしの体に合うようなのだ。
もともと雑炊(いったん炊いた米を使って具たっぷりの汁に入れて作るもの)は好きで、普段でもよく食べているのだが、今回は胃に刺激が少ないようにと、具なしにして白米からきちんとコトコト煮て作っていたところ、まずくはないものの食べた後に胃が張るし、気持ちも満たされない。おそらく具なしの米で副菜がつけられるわけではない立場なので、ものたりないのだろう。かといって白米のかゆに鮭フレークを散らした程度のものを、山盛りサイズで食べるわけにはいかない。水分が大半なので、ますますお腹が張るはずだ。
ところがなぜか、買い置き(もしくは自作)のパンと市販カップスープなどにすると、何の問題もない。別にパンに何か味が強いものをたくさん塗っているわけではなく、何を塗らなくてもいいほどなので、条件はほとんど白米と一緒だ。だが心もお腹も満たされる。おそらく頭の中に「パンはそれ自体で完結してもいいもの」という思いがあるのだろうか。日本食の場合は米だけでおかずがないものは、普通は食べない。だがパンだと「なんとなくありかな」と思えてしまう。日本に深く根づく菓子パン文化による刷り込みかもしれないが、とにかく食事パンをそのままカップスープで流し込んで、とくに物足りないなどの不安を感じない。
これまで、朝はパン、昼は麺かライス、夜はライスというパターンが多かった。米が食べられない食事がつづくといらいらした。だが、いざとなったら、わたしはパンと飲み物が体に合っているということか。
選べるというのは、ほんとうにありがたいものだ。麺がいっさい食べられないと宣言されたら、おそらくどうしても食べたくなってたまらないことだろう。米も、小麦もそうだ。選べるから贅沢を言っていられるし、喜びもある。