今日ネット上で、一部で話題の巨大企業モンサント社が、同社の名物除草剤「ラウンドアップ」を有毒性があるとしたカリフォルニア州に対し、訴訟を起こすと読んだ。
う〜ん、これは、どうしてそんなに強気でいられるのか。
わたしも聞きかじりの知識があるかもしれないのでざっとおさらいすると、モンサント社というのはアメリカのミズーリ州に本社がある多国籍のバイオケミカル企業。近年は遺伝子組み換え作物などでよくその名が聞かれる。除草剤のラウンドアップは、とくによく話題にのぼる(←有毒か否かで)商品。
Wikipedia: モンサント(企業)
遺伝子組み換え作物への反発や、ラウンドアップへの環境問題への危機感から、さらには契約している栽培者とのあいだですら(栽培者に作物から採種させたくない、毎回きちんと種を買ってくれという理想を同社は掲げている)、すでに同社は「たくさんの」訴訟を抱えている。多くは集団訴訟だ。それなのに自分の側からも訴訟を仕掛けるというのは、それだけ資金の余裕があるのは事実なのだろうが、じっくりことに向き合うのではなくて、騒ぎを増やして話の矛先を曖昧にしようという、いわば目くらましのように感じてしまう。
あれだけ巨大な企業に丁寧な応対を求めるほうがどうかしているとは思うが、やはり企業のあり方として、ひとつひとつの訴訟に丁寧に向き合いながら、話し合いをしつつ動向を決めていくのが、理想ではないだろうか。自分たちの判断の誤りや製品の問題が今後もずーっと出てこないと、自信を持っているのか。揺るぎがないのか。このままだと、訴訟の最中に何か重大な発見もしくは製品の瑕疵が疑われる事案があった場合、それまでの期間にたくさん作っておいて、はい売り逃げ、ということを狙っているのではないかとすら、感じてしまう。それとも、その段階で潔く、悪かった点もあったと認めるのか…? いやいや、ちょっとそれは考えにくい。
というのは、業界もしくは国の内部でその存在があまりに大きくなると、データを出してくる団体や機関が、中立ではいられないためだ。まして多国籍であればどこの国のどこの機関に商品のデータを分析してもらっても、もしや同社に有利なデータを出してくるのではないかと人は疑うし、たとえば炭酸飲料の業界などでも「痩せる」といったデータで中立性を疑われるような事例がこれまでも聞かれている。だからせめて、本気で人の疑念を払いたいと思っているのであれば、訴訟を自分の側から起こすよりも先に、ひとつひとつの訴訟などを丁寧にこなして、自分たちも手探りをしながら「相手とともに自分たちも納得できるような事例を積み上げ」られるよう、時間をかけて応対してもらいたいのだが——。まぁ、そんなものより先に、企業メンツというものがあるのだろう。
金持ちのやることは、やはりよくわからない。数パーセントの金持ちが、世の中の大半の富を手中にしているそうである。庶民それぞれから少しずつカネを「吸い上げて」、一部の金持ちたちがその論理で動いている。おそらく一般人の小さな声は、聞こえていまい。まずいことがあったら謝るよりも見かけのみで解散して名称を変更し、企業の分裂や合併をして責任を曖昧にする。そんな気がしてならない。杞憂ならよいのだが。