さきほど、Facebookでどなたかが「いいね!」していた記事のさらに関連記事として、「乳がん患者のうち7割くらいが朝食にパンを食べている」という内容が書かれていた。こういった文章で検索してみると、おそらくその表現の発信源は、日本の給食が危ないという本を複数出版されている幕内氏だと思う。
頭からまるで否定しては申し訳ないし、わたしにも勘違いがあるかもしれない。ただ、一般的に、ネット上で見られるこの10年程度をサンプルにした調査結果をざっと見くらべただけでも、朝食にパンを食べている人は50%以上で60%未満(男性がやや低めで、女性は年代により高低があるため、女性の年代によってはさらに高い数字もあり得る)となっている。
仮にこの「7割くらいが朝食にパンを食べている」というのが「パンも食べることがある」をどちら側として処理したかで、それほど不思議ではない数字であろうと思うが、いかがだろうか。
人は信じたいものを信じる権利があるが、自分の信じているものを人にも強引に信じさせるのは、確信的な善意を逸脱した、行き過ぎの迷惑行為になる場合がある。怖がらせる場合や、健康になりたいと思う気持ちを利用するならば、なおのこと自制が必要だろう。
たとえばよく健康食品やビタミンがどうのというCMで使われる「30,000ミリグラム」であるが、どう考えても「30g」である。レモン○個分のビタミンCというのは、業界内の取り決めでで20mgとされているそうである参考:全国清涼飲料工業会。つまりレモン50個分で初めて1gである。数が多いほうが印象がいいだろうということなのだろう。
個人的に、タウリンが2000mgだろうと2gだろうと、表現に慣れてしまえば購買意欲には関係があるのかどうかわからないが、発想の奥底にあるのは「よく見られたい」という意図だ。これが行き過ぎると「優良誤認」になる。
あまりよく知らない人が書いた文章に、やたらと数字が出てきたときこそ、落ち着いて考えたほうがいい。それから「どこの国の誰それさんが何年にこういう検査をして」なども、情報が詳しく書かれていると誤認させながら、実は関連する資料へのリンクをひとつも提供していないことが多いので、いったん耳に入れてみて「いかにも裏が取りづらそうな話」と思ったら、話半分に聞き流したほうがいいだろう。