今日の話題として、北海道立オホーツク流氷科学センター(北海道紋別市)が主催した写真コンテストに最優秀賞として選ばれた写真が物議を醸しているというのがあったが( → 詳しくは朝日新聞 2015.03.15 クジラ死骸上でガッツポーズ 写真コン最優秀作品に批判)
…わたしはその写真そのものよりも、文中にあった審査員のコメントに驚いた。
女性は朝日新聞の取材に「クジラは生きていると思った。その上に乗っかるなんて勇気があると思ったし、感動したので選んだ。それが冒瀆と言われると何と言っていいかわからない」と話している。
これは、どういうことなのだろうか。
自分が選んだものが道徳的にどうこう言われて落ち着かず、ひとまず何かを言おうとしてこうなったのか。あるいはうんざりして記者をからかったら、まじめに活字にされたということか。まさか本気とはとても思えない。生きている鯨が浜でぐったりしているのに上に人間が乗るわけがないし、タイトルを「征服」とするわけがないのだから。
わたしは死んで浜に打ち上がったのであろう生き物の上に乗る神経はわからないし、それに征服というタイトルをつけてコンテストに応募するのもどうかと思うが、審査員が実際に何かに感動して最優秀賞にまでしたのであれば、ほんとうの理由(ここがよかった、という点)を語っていただき、最後まで作品を擁護してもらいたかったと思う。
ぎゃふんと言わせてやるという表現はあっても、実際に人は「ぎゃふん」とは言わない。
警察発表で「むしゃくしゃしたので、と容疑者が言っている」という表現があっても、容疑者はおそらく「むしゃくしゃ」という単語は使っていない。人前に出すときは、大きな言葉にまとめてしまうから、みんな似てしまうだけの話だ。
だが、どこをどうこねくり回しても、わたしの頭には「生きていると思った」というのは、浮かんですらこないので、やはり腹立ち紛れに記者をからかったのだろうと、そう思うことにしておく。