3月までスカパーで提供していた「Foxムービープレミアム」の枠が、AXNミステリーに変更になった。実を言うとこれは大歓迎。いままでAXNミステリーが気になっていたのだが、契約や機材の関係で視聴が難しかった。イギリスなどヨーロッパのテレビ番組を多く放送しているチャンネルだ。
さっそくウェブサイト上から番組案内を見ていると「スティーブン・キング特集 4作品」の文字が。キングはけっこう好きである。もちろん一番好きなのはジャック・ニコルソン主演のシャイニング、そしてキャシー・ベイツ主演「ミザリー」もよかった。映画ほど重厚ではないにせよ、テレビ番組でもよいものがある。
上記リンク先の予告編を見ていると、おぉ、ピエロ登場。なぜスティーブン・キングの作品で見るピエロは気持ちが悪いのだろう。子供のころはマクドナルドのCMに出ているピエロしか知らなかったので、ピエロといえばマクドナルドといっても、わたしの周囲ではさほど問題ないはずだ。その記憶を呼び起こすかぎり、気持ち悪さは、あまりなかった。
もっとも、日本では実際に本格的な白塗りピエロの格好をして誰かが客寄せをする可能性は、ほとんどない。もしアメリカの映像作品で見るようなピエロがサーカスのような催しで目の前にいたら、かなりトラウマになっていたか、犯罪行為の都市伝説が生まれていたかもしれないとは、たしかに思う (^^; 。
聞くところによると、ピエロを見ただけで(写真や映像などでも)恐怖を感じる人が、実際にいるそうだ。英語ではピエロは clown なので、その恐怖症は coulrophobia と呼ばれているのだそうだ。
(実際に、サーカスやカーニバル以外であの白塗りメイクが歩いていたら、もしかしたらアメリカでも通報されるかもとは思うが…むろん、防犯的な意味で)
恐怖をいだくご本人たち、もしくはそういう恐怖を抱く人を身近にしている方々が鑑賞するスティーブン・キング作品と、ピエロといえばマクドナルドと思っているわたしの周囲の人間とでは、作品の意味合いが多少は異なるのかもしれない。
逆の話になるが、アメリカ人(の一部)が、日本の昔の家屋が出てくる時代劇などを見て「紙と木でできている家だから、泥棒にはいられる」、「ちょっと力を入れればすぐ玄関が壊せる」という感想を抱くことがあるという。おそらく「いったん無理にこじ開けたふすまや玄関は、元に戻せない」という発想がないためなのだろう。その部屋もしくは家に異常があったことを人がすぐ知ってしまう、誰がやったかわかってしまう、もうその土地でしらばっくれて暮らしていけない(だからばれることは最初からしない)…そのあたりの「土地にしみついた生き方」の感覚が、おそらく理解されづらいのだろう。国土が広いか、引っ越しが容易である立場の人には、狭い日本でその土地に長く住む感覚が、わかりづらいのかという印象を受けた。
まぁ、世の中の多くの場所で、文化に精通するくらいの長い期間を暮らした経験がある人というのは、なかなかいないだろうから、こういう文化の差、意識の違いというのは、これからも「説明し合わないとなかなかわからない」ということなのだろうと思う。だからこそ、世の中は面白いのだが。