重要ではない外出で初めて出かける場所には、事前に調べておいてバスを移動の選択肢にすることが多い。始発ならばたいてい座れるし、ぼーっと窓の外を見ながら目的地に着くのは、楽しい。
ごくまれにだが、1日3回くらいバスに乗ることがある。東京は都心部を中心に1回216円くらいの料金で一定になっている路線がほとんどであり、3回乗ると、その会社が用意している1日バス乗車券(だいたい500円台)のほうがお得になることがある。乗車券といっても正確には乗車の権利であり、運転手にICカードから1日乗車券に相当する料金を引いてくれと依頼すれば、次に乗ったバスが無料になるというものだ。
だが、注意しなければいけないのは、会社の違い。どの会社の分でも1日乗ってよいというのではなく、関東バスで1日乗車券としてSuicaを指定すれば、少なくとも同じSuicaには、別会社の1日乗車券は入れられない。また、東京のバスにはけっこう「相互乗り入れ」があり、同じ路線でも時間帯やダイヤによっては別会社のバスが運行することがあるのだ。払っていないほうのバス会社のほうが先に来たからといって、そのバスに乗車しないで次を待つということは、おそらく非現実的だろうと思う。
運行会社によっては「方面」が決まっていることも事実で、たとえば小田急のバスは渋谷から神奈川方向に強いし、京王のバスなら渋谷から中央線方向(中野など)にも出ているが、その中野はもう北口方面は断然「関東バス」の縄張りであり、新宿方向に行くなら「都バス」も強い。つまり、1社の1日バス乗車券を持っていても、よほど一定の地域のみぐるぐるまわるのでない限り、あちこちは出かけられないのである。
ここはひとつ、「どっちに行くのであろうと1日何回も乗り降りできるバスの権利」というのをどこかがとりまとめて販売してもらいたいものだ。料金は多少は高めでも仕方ないだろうが、そうでなければ便利さはたぶん味わえない。