予約リストに入れた理由を忘れたころにやってくるのが、TSUTAYA DISCAS。今回は、わたしか家族のどちらが入力したのかすら覚えていなかった映画で、見はじめて気づいたがかなり重く衝撃的なテーマを扱っている。また、実際に女性が多数行方不明や暴行、殺害の被害にあっている都市(メキシコの「シウダー・フアレス」)を題材としている。
幼少時に環境の変化が訪れなければ、自身も被害者らと同じ立場になっていたかもしれない米国のジャーナリスト、ローレン(ジェニファー・ロペス)。上司に促された彼女は、過去の記憶などから気乗りのしない取材ではあったが、フアレスへと出かける。そこでは多くの若い女性が殺害または行方不明の被害に遭っていたものの、当局の不可解な圧力により、なかなか事実が報道されないという現実があった。
彼女はほどなく、暴行被害に遭って地中に埋められながらも生還した、少女の話を聞く機会を得る。だがそうした犯罪が蔓延している事実を公にしたくない当局もまた、少女を捜していた。
昔なじみである現地新聞社の男性ディアス(アントニオ・バンデラス)の協力をどうにか得て、少女を匿い、証言に沿った犯人候補を絞りこんでいく主人公たち。その身にはつねに危険があった。
証言をすると気丈にふるまう少女。すべてを記事で公にすると意気込む主人公。それくらいでは何も変わらないから、ほどほどにしなければ命がないといさめる協力者…。そして、家庭を持ち幸せを守りたいと思いつつも主人公と行動をともにするディアスの存在。少女らの強い思いは、すべての人の運命を巻きこんでいく。
経済格差、アメリカに家電を送るため格安賃金でこき使われる少女たち、労働者や市民を守るよりも隠蔽のほうが楽と考える企業、そして当局。主人公を取材に送りこんだ上司(マーチン・シーン)もまた、力にはなってくれない。
見終わって、ありそうな話に、心底寒気がした。