10月に当ブログで紹介したドラマだが、クオリティが高く、最後はほんとうに楽しみで、2話連続で見てみた。期待を裏切らない作品だった。
(Netflix公式 URL → https://www.netflix.com/jp/title/80189221)
1992年に、古い屋敷に夏だけの予定で引っ越した家族。その屋敷で何か恐ろしいことが起こって母親が亡くなったらしい。だがそれが何なのかは、すぐには番組内で語られない。幼かった子供たち5人は、母親の死について具体的な説明をしてくれない父親と、絶縁に近い状態で暮らして26年が経過していることが、少しずつわかってくる。
物語は1992年と2018年のあいだをめまぐるしく移動する。
そして2012年もまた、大きな転機となった。作家としての執筆活動に行き詰まっていた長男スティーブンが、ヒルハウスの事件を本にしたのだ。人気作家として経済的に潤う長男。その晩に起こったことの詳細を知るのは父だけのはずなのに、みょうな内容で名を売るのかと兄をなじり清貧を貫こうとする長女。その長女を支えるように同居する次女。そして子供時代からのトラウマに苦しむ次男と三女(双子)。全員が深く傷ついているのだが、それぞれが苦しみを自分たちの内部に溜めこみ、語り合わないまま暮らしてきたことが回を重ねるにつれてわかってくる。
1話目は、1992年に恐ろしいことがあったという視聴者への紹介を兼ねた、長男スティーブンの話。三女ネルが死亡したことが、最後にわかる。
つづいて、長女シャーリーの話。葬儀社を営む彼女は、遠く離れた地で亡くなった妹に死化粧をほどこす。
3話目は三女のテオ。彼女には秘密があった。そして彼女はネルの悲しみを体に取りこんだ。
4話目はネルの双子の兄ルーク。ネルより数分早くこの世に生を受けた。ふたりは遠く離れていても、感じ合うことができた。子供時代からつづく恐怖から逃れるためドラッグに手を出していたが、立ち直りつつあったところにネルの死を知った。
5話目はネル。子供時代からの恐怖や、わずかに幸せだった数年のこと、そしてなぜ死なねばならなかったのかが、彼女の立場から描かれる。
6話目から8話目は、彼らが暮らした夏の日々と、リフォーム作業を通じて発見された屋敷の暗部、そして管理人夫妻のことが描かれる。1992年の(回想シーンとしての)父親が多く登場。
家族の当初の予定としては、夏の間に家を修繕して資産価値を上げることができたらそれを転売し、できるだけ早く最終的な家を建ててそこに住むというものだった。1992年のある晩に亡くなった母親は建築家であり、その夢の家の実現を心待ちにしていた。
そして9話目は、1992年に何が起こったかが、母親の目線から描かれる。
最終話は、父(2018年現在の)と、長男スティーブンを軸に進む。
構成のよさももちろんだが、映像の見た目が美しく、格調の高さがあった。
それぞれが26年かかえてきた心の闇、つらさ、苦しみ。彼らは最後に同じ場所で、それをさらけ出さねばならなくなる。はたしてその先に、光はあるのか——
見終わって、余韻にひたれた。
大人のための美しいホラーストーリー。
これは、ぜひ人にすすめたい。
Netflixのオリジナルシリーズは、ときどきこうして、あなどれない品質のものを出してくる。逆に言うとオリジナルシリーズと名前のついた映画では意味不明な作品にも遭遇したことがあるが、テレビシリーズはおすすめだ。
なお、最初のころは気づかなかったのだが、1992年の父親を演じた俳優は、1982年にE.T.でエリオット少年を演じたヘンリー・トーマスである。