いま読んでいる本は、何冊か読みかけがあるものの、これ。
「伝統こそ新しい オーボンヴュータンのパティシエ魂」
オーボンヴュータンの河田勝彦氏の著作。氏の本はこれで3冊目だが、わたしにとってはこれが初めてのエッセイとなる。レシピは少なめで、11品の菓子とそれにまつわるご自身の思い出話などを書いていらっしゃるのだが、これがまたおもしろい。
以前に大森由紀子氏の「ママンの味、マミーのおやつ」と出会ったときもそうだったが、苦労話や若いころのエピソードを読ませていただくと、その後にまた同著者のレシピ本を開くときに、菓子が単に配合と手順だけではない、血の通った味わい深いものと実感できる。
ネットなどで手軽に配合と手順を掲載し、出来上がり写真などを見せ合うサイトもあるようだが、やはり作り手の思いや「ひとつひとつをたいせつに受け継いで、その上で自己流にアレンジしていく」という姿勢から何かを学べるのは、本ならではのことだと思う。
これからもたくさんの料理研究家、パティシェらの本を読んでいきたいが、欲をいえばエッセイ部分が多めか、エッセイ中心の本がもっと出版されてほしい。