日本では80年代ころを中心に、フランスの作家カトリーヌ・アルレーの本がよく読まれていた。当時の日本で盛んだったサスペンスドラマ(2時間仕立て)にも、原作としてよく使われていたと思う。
それから数十年。
もはや、代表作「わらの女」以外は、絶版らしい。Amazonで検索しても、古本ばかりが引っかかる。
あれだけ読まれていたのにと、なにやらさみしい。とりわけ「わらの女」は、最後にきっかりと完全犯罪が成立してしまったのが苦しく、悲しく——主人公の絶望はどれほどのものかと、活字で衝撃を受けた数少ない作品だった。同じように衝撃を受けたのは、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」だったが、読んだのはこちらのほうがあとで、大人になってからだった。
こちらは文庫(なんと、2000年代に改訳されているとは…!!)。
そしてこちらは、ラストが凡庸になってしまった映画版。やはり映画界としては、あのラストをそのまま作品にはできないと思ったのか、大胆に変更。
(字幕はついていない可能性がある)
Wikipediaによると、最近の活動は知られておらず、施設にはいっているとの情報がかつてあったらしいが、どうされているのだろうか。かつて書店の棚を埋めていた名前が、もはや消えつつあることに寂しさを感じている。