オリンピックで景気がよくなるというもくろみか、あるいは住宅エコポイントのような制度の都合で今年のタイミングになったのか、このところ徒歩圏内に新築一戸建ての販売がけっこうある。この灼熱の日差しでもやっているかどうかは不明だが、初夏のころまでは、曜日によっては不動産会社の人が家の前にテーブルを出し、内覧したい人に案内を出しているのを見かけた。
不動産サイトを見てみた。ほぅほぅ、この界隈は○千万円くらいなのか、そうかそうか。つづいて、たまたま見覚えのある近所の中古一戸建てが、掲載されているのも見つけた。へぇ、あの家は外から見てもそこそこ広いが、部屋数もあるんだな、へぇ〜と思ったのだが——
写真や説明だけではわからない、近所の人間だけは身にしみて知っている事情がある…。実はその家の界隈に、ユスリカの大群が常駐しているスポットが複数あるのだ。
ユスリカといっても、かわいいレベルではない。季節や時間帯によっては、通りたくないような思いをすることがある。近くを歩く際には冗談めかして「ここで虫網をめちゃくちゃに振りまわしたら、けっこうな量が引っかかるのでは」と言うようにしているが、連れは笑うどころか、真顔で「たしかに」と答えるのみ。
これは、1回くらい見学に来たくらいでは、気づかないことだろうなぁ。
それがなければ、あの広さで、あの値段は、家族が4人くらいいてもじゅうぶんかもしれないが。