いまよりさらに節操のなかった、70年代の雑誌広告欄。10代後半でも読むようなコミック雑誌にも、減量関連の広告や健康食品もどきの情報は、たくさん載っていた。
わたしは年上の集団の中にいることが多く、それらの人々が読んでいるものを少し遅れてお下がりとして見ることがあったが、広告にあった「アップルダイエット」という言葉は、強烈に印象に残った。それはなんだろう、と。食事の代わりに林檎を食べるとカロリーが抑えられるという話なのだろうが、それがそういう話を書いた本のタイトルだったのか、あるいは林檎の粉末でも売っていたのか、そこまでは覚えていない。
ただ、日本語の「ダイエット」が、英語で痩せるという意味だと勘違いしてしまう人が現在でもたくさんいることは、このときのアップルダイエットという言葉が、少なからず影響してきたと考えている。ダイエットという言葉そのものを知らない人も、多かったはずの時代だ。痩せるという意味なのだと、思ったのだろう。
先日もちょっと驚いてしまったのだが、知人がリンクで紹介していたストレッチの動画に、動画を作成しているご本人が、英語としてdietという言葉を添えていた。これは英語圏の人が読んだら「食事で体重を落とす動画かな」と勘違いしてしまうことだろう。dietは、食事で体調を整える(結果として痩せることもある)という意味はあるが、減量とか痩せるという意味は、ないのだ。
そういえば、アップルダイエットのほうは、なんとなく「林檎を食べた方がカロリーが少ないということなんだろう」と子供心に想像できたが、いまだにわからないのが「紅茶きのこ」である。
Wikipediaに写真があるが、見た感じの気持ちが悪そうだし、なにやら「いったん雑菌がはいったら、どうするのだろう」的なおびえも感じる。あれはほんとうに流行っていたのだろうか。少なくとも北関東の田舎では、周囲の大人たちがやっていたようには記憶していない。