つい数日前、何かのはずみに「古畑任三郎のエピソードのなかで、森山周一郎がわがままな年寄りやってたあれ、すごかったな〜」と、思い出したところだった。テリー・サバラスをしぶい声で吹き替えしていた人が、自分勝手な年寄りを快演。さすが大御所だなと、思ったのだった。
ところが今日のニュースによれば、守山さんは肺炎でお亡くなりになったとのこと。ご冥福をお祈りします。
そのエピソードは、若い愛人ともめた政治家が、自分のせいで女性が仮死状態になったというのに(←このあたりは記憶曖昧だが、もしや完全に死んでいたのだったか…?)、秘書(小堺一機)を呼びつけて「どうしよう」と、ぜんぶ丸投げで後始末をさせるところからはじまる。
秘書が必死に自殺偽装などを考え、あれこれと手を尽くしている横で、代議士は「おなか空いたからピザとらない?」と平気で言う。ついにぶち切れた秘書は、ボスをずっしりとしたガラスの灰皿で殴る——だが幸か不幸か相手は死なずに、記憶が混乱した状態のまま、入院になった。
女性の死体。入院した代議士。混乱が落ちついたら何をしゃべり出すだろうかと焦る秘書。そしてやってきた古畑任三郎が、なかばおちょくるように秘書を追いつめる。そういう話だった。
古畑任三郎は、よく見ていた。
そういえばあのころは、ドラマの放映を、きちんと時間に合わせてテレビの前で待っていた。待ちたいほどに、よいドラマもあった。
いまではもう、わたしにとってドラマは配信か録画だ。自分から放映を待つほどに心躍るものは、ほとんどなくなってしまった。
森山周一郎さん、やすらかに。