先ほどある短編集を読んでいて、その内容が何年前の思い出話かが書かれていないものがあった。停電なのに電話がかかってきて話をした、あとから思うとあり得ないことだった…というものだ。
だが、NTT民営化前までは一般的だった、回線を契約するだけで付属してきた黒電話、あるいは当時の電電公社が認めた電話機は、電源を別途必要としないものだった。電話線が電話回線とつながっているだけで使えた。電話回線から最低限の電源をとっていたというか、言葉を換えれば、黒電話はもちろん他機種においてさえ、電話機に数字を出すディスプレイもなかっただろうし、使用する電気量がほんとうに少なかったのだろう。
そのため、こういう短編を読んでいると「何年前の話か書いておいてほしい」と、つくづく考えてしまう。