わたしは2月13日付けの当ブログで
アメリカ寄りの報道を他国がそのまま流してしまっては、冷静になれなくなることへの懸念を書いた。アメリカが騒げば「ロシアを煽る」ことになりかねない。他国までその方向付けに手を貸すことは危険だと。
だが実際にロシアは、やってしまった。仮に煽られたことが要因の一部であったにせよ、やってしまったのはロシアだ。ウクライナに侵攻し、現地では人が死んでいる。また、ロシアの兵士も死んでいる。
この段階においてなお、ロシアを悪と決めつけた報道はよくないと考える人がいることも、そしてその気持ちも、多少理解できる。より慎重でありたいのだろう。だが実質的に、現在はどちらの側も公平に取材することは無理である。ロシア内で「普通の取材」ができる状況にない。
ロシア国内から他国メディアが報道をする際に、それをロシア側が虚偽と判断した場合は、情報を流したメディアを訴追すると脅しているのだ。BBCは数日間の中断ののちに報道を再開したが、そのまま活動を止めているメディアもある。
中立に報道したいと考える人や団体の良心に訴えるのではなく、自分たちに不利な情報を虚偽と見なすと脅す態度に出た国に、これ以上の配慮が必要、あるいは可能だろうか。
このところ「ロシア=悪の目で見るのはよくない」と書いている人たちが、以前から、わたしが懸念してきたようなことをずっと書いてきたのであれば、さほどの文句は言わない。だがこの段階に来てからそういうことを書きはじめた人がいるならば、もう少しだけ丁寧な説明も、添えていただきたいように思う。
ただ、メディアに対して、ひとつ言えることは「あまりウクライナ大統領を持ち上げるな」である。アイドルでもスーパーヒーローでもなく、ゼレンスキー氏は政治家である。