1商品のみで勝負の店

 都立家政駅の近くに、鈴カステラの店ができた。まだ開店から間もないが、最初の数日は人だかりがあったものの、現在のところ、平日昼間に通る分にはほとんど客がいない。

 こういう商売は、賭けだろうと思う。お味見いかがですかと2〜3個を出してしまえば、最低15個入り600円からの販売のところ「ああ、今日明日で15個は食べられないから、いいや」と通過される可能性がある。さらには数人以上が住むご家庭、もしくは近所の人とお裾分けの付き合いがある人であっても、最小が15個以上からのセット販売というのは、かなりリスクが高いだろう。

 ○○味などのミックスを販売するわけにもいかず(←焼いてしまえば見た目でわからなくなるので販売する側も買う側もリスクがある)、かといって鈴カステラの店と書いておきながら普通のカステラや今川焼きを出すわけにもいかず——となれば、これはもう、都立家政駅ではなくて、西武新宿線なら高田馬場の改札あたりを狙うとか、中央線ならば荻窪あたりを狙うとか。

 ちょっと都立家政のあの場所は、ビジネスとして冒険ではないかなと、思っている。

 甘党のわたしでも、15個は買いたくない。料金が割高でも5個入りの小袋を、まずは出すべし。

 

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。