海外からの被仕向送金の思い出

 20年くらい前だろうか。まだマイナンバーだ本人確認だという話がなかったころ、外国から数万円分のお金をもらえることになった。そのころはまだ都内のあちこちの銀行で外為窓口を置いていたので(いまでは普通の窓口ですら縮小してATMを多めに設置していることを思うとパラダイスのようであった)、近所の銀行で手数料について聞いてみた。

 相手が手数料を上乗せした額で小切手を送ってくるというのだが、いくらくらいの手数料を相手に伝えればいいのか…? すると、その窓口の人は最低でも2種類ある手数料のうち(外国と日本のあいだを中継する銀行が取る手数料と、国内でその銀行が取る手数料)、どちらかの分しか教えてくれなかった。あるいは都心でもない近所の銀行だったので、めったに取り扱いがなくて知らなかったのかもしれない。

 わたしは教えてもらった金額をもとに、その外国の会社に数千円分くらい多めに金額を伝えて、小切手を出してもらった。
 小切手が日本に到着。それを銀行に持っていって口座に入れてくれと頼むと、受理してもらえた。

 半月後くらいだったか、銀行からお知らせの封書が到着。入金があったので、その明細だという。
 ……えっ?
 ………手数料、めちゃくちゃ増えてるじゃんか〜。
 驚いたあまりに、苦情を言おうかと考えた。そこでまずは確認を兼ねて銀行に電話したが、そういう電話を想定していたのか、練習したかのごとく早口にだだだーっと解説をされた。そこでわたしは「あなた事前にそれ言ってないじゃんかー」と、言うのをやめてしまった(←言ったところで勝ち目はなかっただろうが、わたしのへたれ具合がこうして露見)。

 あ〜、あのときの悔しさ。いくら取られたんだったっけ。3000円以上?

 さてそれから時は経ち、2022年の晩秋である。

 いまは中継手数料がどうなっているんだろうか、もう少し明快になっているかなと、外国からカネをもらえそうなアテはないのだが何気なく検索してみると…変化なし。

 ○ 中継銀行の手数料がいくらかかるかは不明で、それはほとんどの場合が受取人の分から引かれる(仮に相手の支払いに手数料を上乗せするよう依頼しても、現地の銀行がそれを認めない場合があるとのこと)。そんな不確定なことでは、やっていられない。
 ○ さらに日本国内で、めちゃくちゃ手数料を取る!! (基本が2500円以上で、日本円にするかしないかを含めてさらに外為の手数料がある)
 銀行や口座の種類によっては手数料が「やや」安い場合もあるようだが、どこも(その銀行への手数料のみで)数千円単位であることには違いない。

 個人間や小規模なビジネス用であればPayPalもあるようだが、あからさまに大きな手数料が請求されないだけで、随所に手数料がはいっている模様。また、以前に説明を読んだ際には、全体的にわかりづらい(すんなり頭にはいらない)印象を受けた。そしてもちろん「送金する側される側の両方がPayPal会員である必要がある」というのが大前提。

 SBI Remit(エスビーアイ レミット)のように、送金の仲介だけを目的としたサービスや、以前から名前は聞くWise(ワイズ)というサービスも、手数料が低いことで知られている。

 ただ、前者は銀行ではないので、送金したい金額を提携ATM経由で入金する必要があるらしく(送金に使う以外のカネを預かっておくわけにはいかないということらしい)、入金があったら指定口座にすぐ出金してくるそうだ。だが同じ日に少額な入金が10回あっても1件単位で手数料を取るというから、やはりある程度の金額を想定した、大きめビジネスが適しているのだろう。

 後者のWiseは、日本円での入金に関しては日本の窓口に口座を持ってそれを受取口座に指定することができるが、外国通貨でのやりとりには、もしかすると複数の海外Wise口座を持つことになるのかもしれない…?

 受け取り時に日本円にしてくれなくていいので現地通貨のまま口座に放りこんでくれたらいいのにと、わたしが口座を持つSMBC信託銀行(SMBCプレスティア)でも説明を読んでみたが、つねに1000万円以上の金額を預けている顧客でないかぎりは、そこそこ手数料は取るようだ。もちろん中継銀行の手数料を引かれたほかに、だ。

 外国としょっちゅう商売をされている方々は、どんな送金(仕向/被仕向)をご利用なのか、ちょっと興味がある。

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。