Plan-B(プランビー)は大事: パン酵母の話

 この何週間か、そしてとくに11月中旬くらいには、パンが焼けなくなっていた。酵母の調子が悪かったのだ。夏まではあれほど調子が出ていて、田舎の親にもパンを頻繁に送りつけていたほどだったのに、同じ手順を踏んでいるつもりでも酵母に元気が出ない。無理に焼いても案の定まずい。

 仕方ないので作りかけていた酵母は処分し、新しく作り直すことにしたのだが、そこでもうまくいかなかったらわたしの気分はもう浮上しないことだろうと、予備手段として数年ぶり(おそらく10年ぶりくらい)に、市販酵母を買ってみることにした。使う使わないはともかく、焼けないほどに不調になったときにはこういうものがあるというのが、心の支えになる。

 購入したのは富澤商店に在庫があった、こちらのパネトーネマザーと、とかち野酵母。
市販酵母(パネトーネマザー、とかち野酵母)

 パネトーネマザーは、記憶にあるかぎり10年くらい前までときどき使っていた。自家製酵母の調子がいまひとつのときに、パネトーネマザーでも中種を作って自家製酵母と混ぜて使ったこともある。匂いがよいので信頼していた。
 とかち野酵母も、以前に使った。こちらは匂いがあるが、発酵が簡単だったような記憶がある。割高でも分包タイプにした。袋タイプでは1回使えば残りが劣化してしまう。

 そのほか、家にたまたまヨーグルトが多めに買い置きしてあったため、一部に少し牛乳を足して発酵させ、かさ増しをしてからヨーグルト酵母に使ってみた。こちらは1回目はいまひとつの仕上がりだったが、もう少し寝かせてから再挑戦したところ、膨らみが改善された。
 さらには台所の隅から「使用期限が5年も過ぎたヨーグルトの種菌粉末(未開封)」が出てきて、そちらでも牛乳と混ぜて実験をしたところ、分包でまったく空気に触れていなかったせいか、菌が生きていた。こちらもパン酵母として育ててみるつもりだ。

 さらに、別酵母。
 初夏から夏にかけてたくさん作ったレモンシロップの残り(液体をとってしまった残りのレモン本体)を冷蔵庫にたくさん保管してある。それをほかのものと一緒に水に入れて酵母を取ってみることが多かったが、それがこのところうまくいかずに、挫折していた。
 そこで今回は「本来なら用済みのレモン本体なのだから、料金が高くなってきたレーズンを混ぜたらもったいなさすぎる。それなら、普通は食べない林檎の皮をたっぷり入れて酵母を実験してみたい」ということになり、安いリンゴを探していたところ…

 クックパッドマート(スマホで注文して、専用ロッカーの設置してある最寄り店まで取りに行くスタイルの通販)に、「目安として5個前後、訳ありリンゴ」と書かれていたものがあり、格安だったので注文してみることに。すると受け取り先のロッカーにあったのが、こちら。

格安のおまかせリンゴ、1袋分。

 右端のミネラルウォーターは、300mlくらいの小さめボトルである。隣に見える小さめかぼちゃサイズのリンゴは、750gあった。3個分である。これひとつの皮を、使用済みレモンと水を入れていた瓶に追加。水も追加した。発酵しれくれるとよいのだが。

 この750gのリンゴは、ざく切りにしてレーズン、砂糖、蜂蜜で加熱し、最後にラム酒をかけて寝かせて、ヨーグルトを食べるときの具材にした。

 それにしても、ミニサイズも含めてあと4個のリンゴが残っている。なんとかしなければならない。

 市販酵母を買ったことで「もし酵母がうまくいかなくても次の手(プランビー)がある」という気持ちになり、物事が少し明るく考えられるようになった。願わくばこのまま市販酵母を使わずに自家製酵母だけで突っ走りたいところだが、無理に期待をかけて自分を追いつめることは、やめておこう。気楽に、気楽に。

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。