いったい今月はどうなっているのだろうか。予定外のことが次々に起こり、自分がよく(精神的にも)無事でいられるものだと、感心してしまう。
今朝は体が冷えて感じられ、動きもにぶく、午前のほとんどは潰れてしまった。
だがぎりぎりまだ午前のうちにDuolingoを少しやっておこうとiPhoneを手にしていたはずなので、かぎりなく昼に近かった時間帯のこと——田舎からの電話がすべてのはじまりだった。あることで親の不安が増し、わたしに延々と思いを述べてくるのだが、あまりにもその声が弱くて暗いので「今日ちょっと行こうか」と言うしか、こちらには選択肢がなかった。
最近は便利になったもので、着替えて最寄りの高円寺駅に歩いて電車に乗り、その車中から東武線の空席を検索して座席指定しつつクレジットカードで支払いができるのは、わかっていた。だからたいして何も考えずに「さくっと行ってくるか」という気持ちだった。中野駅から先は地下鉄にはいってしまうので、通信回線がもし不安定になったら困ると思い、ねんのために地下鉄にはいる直前に予約も済ませた。予約は座席分だけなので、運賃はSuicaで支払う。
東武浅草駅に着いた。
安い手土産と軽食を買って1万円札を崩そうとした。田舎の家はかなり市街地から離れているためタクシーが必須だが、キャッシュレスがどれくらい進んでいるかはタクシー会社で違うらしいと聞いていた。もしスマホ決済などが使えなかった場合にそなえて小銭をと思ったのだが、デパ地下で何かを買うほど大げさでなくてもいいからと思い直し、駅直結の松屋を無視して、東武線の改札をくぐってしまったのだが…。
なんと、東武線のホームに売店がなかった!!
数年前に外国の知人親子を案内して群馬の果てまで出かけた際、わたしがねんのために「改札にはいる前にいろいろ買っておいて」と言ったのだが、先方は何も買わないまま改札をくぐってしまった。どきりとするわたしを尻目に、知人らはその売店で無事にあれこれ買ったのだった。その記憶があったため、今回もあると思っていた。
現在は見渡すかぎり、飲み物自販機ばかりである。唖然。
東武線はあれだけ各方向に伸びる路線を構えておきながら、車内からも自販機を撤去したらしく、駅ホームにこれでもかと並ぶ自販機はすべて飲み物だけ。なんたること。どうやら去年からだそうだ。2年近くも知らずにいた。
カネを崩す予定が狂ったことと、1時間以上も乗っている電車内でまったくもって水分しかとれない状況に不満があったが、まあ、観光しに行くわけではないので仕方ない。
だが朗報もあった。
田舎の駅に到着する直前に車内から検索すると、なんと日に数本しかないバスが、少し待っていると乗れるらしいとわかったのだ。到着後にさっそく電話をし「時間はかかるがバスで行く」と宣言して、駅のコンビニへ。ここで1万円札を崩しておけばいいだろうと、先方へのごく少額の手土産(お茶菓子レベル)と、サンドイッチなどを購入し「現金で払います」と告げた。
ところが、なぜか札の吸い込みが悪いと思ううちにエラーになってしまい、店員さんがふたりがかかりでレジをチェック。「ほかの支払い方法にしたほうがいいですか」と尋ねると「このレジそのものがエラーで使えませんので」とのこと。少し待っているとレジが直ったので、改めて1万円札を入れて支払った。
手間はかかったがそれでほんとうによかったと思ったのは、バスに乗ってからだ。おつりは出ませんと明記されていた。ぴったりした金額しか受け付けないらしい。コンビニに寄っていなかったら、小銭があったかどうかわからない。もしや千円札を入れて残りを寄付する羽目に陥っていた可能性もある。
市街地は混んでいたが、田舎の家が近づくあたりは乗客もわたしだけになり、さくさくとバスは進んだ。
家に着いて、話を聞いた。
電話があった段階ではどれくらいの時間ほど話を聞かされるのかと思ったが、意外にも短く済んだ。到着から1時間半後には「じゃ、東京に帰る」ということになったが、車を出してもらえることになり、駅までのタクシーを呼ばなくてよいことに(呼んでいたらいくらかかっていたのか不明だが、何年も前で3500円くらいかかっていた記憶がある)。
北千住に着いてからは乗り換えもスムーズで、高円寺の駅前で買い物をしても夜9時過ぎには帰宅できた。
このところ体調が整わない日が多く、今日も午前にまだ大好きなコーヒーも飲まずごろごろ横になっていたのだが、今日は自分のことも忘れて飛びまわってしまった。明日からの自分が無事であることを祈るのみ。