10年くらい前だろうか、さぬきうどんの本などでも有名な、さとなおさん(www.satonao.com)のサイトを毎日のようにながめていた。美味しいお店のリストでは、食べに出かける仲間たちとのことをジバラン(自腹を切って食べたものを評する人たち)と表現していらっしゃった。
これは、とても大事なことだと思う。
人におごってもらった店、みんなでわいわいと食べて楽しかった「いい思い出のある」店は、実のところ味や雰囲気をあまり覚えていないし、関係者がいる以上、活字やネット上で悪く書けるはずもない (^^; 。
「セコムの食」のバイヤーさんが、著書「世界でいちばん“おいしい”仕事」で、取材先で別のお店を紹介されても現地でそのまま口にすることはせず(そのほうが交通費も宿泊費も浮くのだが)、かならずいったん持ち帰ってひとりになり、部屋で食べてみると書いていた。
実際の問題として、お取り寄せをする人は、現地で出来たてを食べるわけではない。そうすることで客と同じ条件で食べられるという意義があるほか、現地の人たちが見ているその雰囲気の中で、「美味しいですねー」などと余計な気を遣う必要もないからだろう。
こういう姿勢は、とても尊敬すべきものだ。
さて、わたしのことだが:
普段から「そんなにバターのはいったバウムクーヘンが食べたいなら、注文する前に店に問い合わせをしたらいいじゃないか」と思われる方がいるかな、と感じている。いや、いないかもしれないが(^^)。
わたしは、それはしない。バターの使用量が少なくても美味しいバウムが、もしかしたらあるかもしれない(経験則として「ない」と思うが、もしかすると)。自分の経験則をぜったいと思っては、今後の美味いものとの出会いを逃してしまう。
リサーチ不足もしくは勘がはずれてバターが少ないまたは使用ゼロのバウムにあたってしまったら、それはそれでおもしろいだろうし、将来への肥やしと思うだろう(多少ショックだろうが…)。
誰かが美味しいと言った/書いた店で買うのは無難かもしれないが、無難な線をわたれば無難な出会いしかない。それよりもわたしは、自分の記事を見てバウムを買ってみたくなる人がでてくれたら、そのほうがおもしろいし、書いていて気持ちにハリが出る。
ときどき、このブログやmixiの関連コミュニティ(バターを使ったバウムクーヘン)を見てバウムを選んでいると声をかけてくださる方がいて、それがいまのわたしの楽しみだ。
さて、話は違うが、本日ひさびさに知人から「樫の木」のバウムクーヘンを二種類いただいた。以前にわたしがお送りしたものと交換の扱いではあるが、すてきなものを頂戴した。ありがたき幸せ。
これは厳密には自腹ではないが、送ってくださった方もそれをお望みのはずなので、きっちりレポートさせていただく予定。お楽しみに。