この数日で連続して話題になった焼き菓子もそうだが、数年前は学校の給食用食パンで食中毒が発生したことがあり、周囲の一同「高温で焼くのに、なぜ」と首をかしげたものだった。
そのときの食パンに関しては、もしやスライスするための器具に菌が付着していれば食中毒もありうるかという巷の意見もあったものの、保健所やマスコミは、概ね食中毒の原因となった商品名だけを告げて話を終わりにしてしまい、その商品のどこに問題があったのかという話まで伝わってこないことが多いので困る。今回の中津川市の和菓子店によるパウンドケーキ食中毒は、店の話としてカボチャが傷んでいたのかもというコメントを紹介していたウェブサイトもあったが、すでに保健所の指導がはいって営業は再開されているらしい。その後で話題になった個人店によるマフィン食中毒もまた、店主により製造が数日以上前から連日おこなわれていたため最初のほうで作ったものが傷んだのかもいうコメントが紹介されたのみである。
商品にもよるが、一般論として——食中毒の原因がすでに材料に混入している場合は、そのあとで高温で焼こうと関係ない場合も多い。原因をそもそも寄せ付けない努力のほか、焼成後の適切な保管と、早めの販売が重要である。個人店でイベントに出店するためひとりで毎日数百個ずつマフィンを焼いて、合計で3000個以上を売ったというのは、やはり無理があると言わざるを得ない。
季節を問わず、食中毒については、提供側も客の側もじゅうぶんに注意しなければならない。