東京に出てきてからだいぶ田舎の言葉を忘れてしまっているが、勤めはじめてからワープロを買ってみて、あまさけ(甘酒)が変換できずに「あれ、あまざけ、のほうが標準語なのかな」と思うようになった。そのほかにも、この数十年で「これこれは、変換しづらいから、標準語の読みではなかったのか」と、考えるようになった単語がいくつもある。
いまから思えば、自分に自信を持って自分の読み方で辞書を鍛えればよかったのだろうが、当時はそんなことは考えもせず「標準語ではなかったのか」と、そちらに合わせる癖がついてしまっていた。最近であれば気になる単語に複数の読み方があることもすぐ検索で確認できるのだが、当時はネット検索というものがいまほど一般的ではなかった。
こうしたちょっとしたことで淘汰されてしまい、人目につきづらくなってしまう言葉というのは、意外にあるのかもしれないと考えた。