フランスのドラマで、全6話。1998年に妻を事故死で失っていた警察官が、2025年(27年後)に、すぐ近くで起きた事件を調べるうちに、どちらも殺人だったのではないかと気づく…という話。
2025年には、事故や事件の現場を詳細に撮影してそれをデジタル化し、そのデータを入れた眼鏡をかけると、現場をバーチャルリアリティのように体験できる仕組みが発達しつつあるという設定。冒頭で起こった事件のほか、ゆくゆくは27年前の事件も遡ってデジタル化される予定ではあったが、何らかの不具合が生じた。最近の事件のバーチャルリアリティを体験していたはずの主人公が、現場すぐで27年前に発生した妻の姿を目にし、語りかけてみると意思疎通ができることがわかった。
最初は事故だと考えていた主人公は、妻が死ぬはずの日時を伝え、その日にそこに行かないような工夫ができたらと助言し、自分がバーチャルリアリティの部屋にはいる時間を告げて待ち合わせをし、情報を伝えることにした。だが妻が少しずつ過去を変えると、現在の主人公(再婚して新しい家庭があり息子もいる)や周囲の人々の境遇が変わってしまうことがわかる。現在の妻や息子に会えなくなるのがつらいが、救えるかもしれないのだからと情報を渡すしかない主人公だったが、無事に生き延びたら「頼むから(当時の)自分に何も告げずに離婚して、離ればなれになってほしい、そうしたら自分は現在の妻と出会える」と、必死に頼みこむことも、忘れなかった。
やがて同一犯による殺人が数年の間隔を経て継続していた疑いが強まり、2025年と1998年のあいだで、事件の解決に向けた努力がはじまる。
なかなかの出来。
謎になっていた部分は残ったが、最後の最後、あのシーンが見られてよかった。
主演のトメル・シスレーは、人気テレビドラマ「バルタザール」や、映画「ラルゴ・ウィンチ」シリーズで知られている。25歳役はやや見た目として無理があったものの(周囲の役者らも若作りをして27年後とのあいだでいったりきたりしていた)、話としてはおもしろい試みだったと思う。