行政がPDFなどでハザードマップを公開しているので、自分の田舎を見てみた。いまも母が住むあたりはほんとうに(交通や買い物などの面で)不便であり、車を運転してくれる人がいないと出かけることもできない。数十年前、わたしの幼少期には、まだそれほど自家用車を持つ家庭も多くなかったのか(あるいはあっても一家に一台だったのか)、1時間に1本程度のバスがあり、けっこうな数の乗客でにぎわっていた。
それから月日が経ち、いまや多くの家で運転可能な年代の成人ひとりにつき車一台というレベルになっていて、バスは1日に数えるほどしか通っていない。わたしが数年に1回程度しか母に会いに出かけない理由のひとつが、その不便さである。
だがふと最近になって「山は近いものの接近していないため土砂崩れはないし、市街地から山に近づく高台なので大雨でも洪水はないし、地盤がけっこう固そうなので災害に強そう」と、思うようになった。不便さはともかく、家にいれば安心といった心のゆとりが生まれやすいかもしれない。
そんなことを思いながら、市のハザードマップで母の住む家を見ると……。まるっきり、安全であることを確認。よかったな、母。
市街地、とくに市役所や名所旧跡のあるあたり、かつて徒歩の買い物客が多かったころは中心街だったあたりは、浸水のリスクでマップが赤くなっていた。そういえばそのあたりから少し北上したあたりの大通りが、大雨の際には池のように見えることがあると聞いたことがある。
だが、災害の際に情報が得られやすく救護や助け合いの機会に恵まれるのは、たいてい居住者が多い場所である。普段の生活が便利なのも人が多い場所だ。人が適度に多く、そこそこ便利で、かつ災害のリスクが低めの場所というのが理想だが、なかなかそんな都合のよい場所はないだろう。