差し障りがあるといけないのでいつどこの場所での話かは書かずにおくが、ある大きめ掲示板で、そこそこ上位の権限のある人のアカウントが、乗っ取られた。10分か15分くらい遅れてその場を見たわたしは、怪しい情報が掲載されている意味がわからず、利用者が不安そうに退避していた場所を見つけ「変なものがあるけれど、とりあえず消しとく?」と尋ねてみた。消しても相手は書きつづけるだろうし、対応策としてはモグラたたきであるが、消せるのなら消してくれという流れになった。
投稿を消せる権限のあるアクティブなメンバーがその場にあまりいなかったようで、最高位の権限のある人がやってくるまでの時間稼ぎに、わたしは投稿を消した。数分おきにやってくるのを見計らっては、次々に消した。ほどなく最高位の方々が登場してくれたのでわたしは見守る側に回ったが、被害に遭った方々の話を聞くと、どうも、何が起こっているかを語り合えるはずの人気掲示板の一部で、利用できる人の範囲を書き換えられてしまったのだそうだ。そのため一般の人々はごく一部の場所しか利用できなくて不安だったとのこと。アクティブなメンバーが読み書きできる場所の権限を変更することは、その人物にはできなかったらしく、それが幸いだった。その場所で何人かの人と話ができたので、わたしは安心して投稿削除の判断をすることができた。
怪しいものが出たら消すという、時間にして1時間程度の張り込み作業だったが、妙な意味で「勉強になった」と考えている。
その場にいた人々が、不安/不快に思いつつも「こんなときこそ、あわてずに待とう」とか、(最高位権限の方々が)「きっとちゃんと、もとどおりにしてくれる」と、周囲を励ましていたのを見た。あるいはわたしが密かに「この人ほんとうはそっち側(関与している側)ではないか」と疑いつつも様子を見るしかなかった人物が、それらの会話に堂々と加わりそうになったりとか。もしその人が話題の中心にはいることができてしまっていたら被害は大きかったかもしれないが、そうはならなくてよかった。
ほんとうに、なかなか見られる光景ではない。終わってみると、疲れたけれどもすがすがしかった。
それにしても、最高位の権限の方々がご無事でよかった。もしそれに近い方々が乗っ取られていたら、わたしなどは投稿を消すこともできないまま、権限を下げられていた可能性がある。誰でも見られる場所で、自分が投稿を消していると公言していたのだから、わたしが邪魔だと思われて何かされたら、そこで終わりだった。
セキュリティはつくづく大事である。そして、自分が無事でよかったと、ほんとうに考えている。