わたしが罹患したのは約2年前、3月の初旬だった。あのころは少し世の中が落ちつきはじめていたころだ。希望すれば食品の配送もあったものの、同居家族が検査を強制される時期は過ぎていたため、食品が足らなくなれば買い物に行ってもらえると考えてわたしはそれを辞退した。実際に、家族は数日間のみ家で様子を見たのち、買い物や用事をこなすため近所に出かけてくれた。
罹患した本人も発症から数えて10日を家にいれば、11日目からは(症状が治まって数日以上の経過で)自由の身と言われており、わたしは家で安静にし、毎日1回電話をもらいながら、その日を迎えることができた。
その後も、家族がコロナになることはなかった。
わたしとしては、これからも外出時のマスク着用と手洗い、うがいなどをつづけていれば安心と考えてきた。
ところがつい最近になって、その当時にコロナがどうのの災厄をまぬがれたとおぼしき複数の人たちから、罹患したとの知らせをもらった。また流行っているのだそうだ。最近の特徴的な症状がどんなものかや、重症化した場合の話などをニュースとして追っていなかったが、その人達はとりあえず無事のようで、ほっとした。世の中の全体として、今後もしばらくは警戒が必要だろう。
コロナの時代になってから、いろいろなことが変わった。たとえば店では自分でトングを使って袋やパックに詰めるような惣菜があったが、現在では数個ずつ店がすでにパックしておいたものしか売られていない。そのほうが衛生的に安心というのは売る側にも買う側にもあるだろうが、1個しかほしくない人が3個入りを買うなどの無駄は、やはりついて回る。
完全に昔のようになることが目標とは言わないが、やはりどうしても、窮屈さのようなものが存在しつづけている。それに慣れていくべきなのか、適度に回避していくべきなのか、これからもそれぞれの人やコミュニティなりに、手探りで着地点を求めていかねばならないのだろう。