あるサービス上での英語のAIに「臼と杵で餅をつく」画像を出させようとして苦戦した。木製の臼と杵で大きさはどれくらいでという具体的な説明を書いたとしても、そもそも mochi という単語で英語圏AIが先に思い浮かべるのが中にクリームがはいった菓子(雪見だいふくのような)である。知人の日系アメリカ人からの情報によれば、アメリカの人々に関しては、餅や求肥部分があるかどうかも疑わしい、ただの丸いアイスクリームを思い浮かべる人もいるのだそうだ。
そのためいくらAIに対して英語を並べても、臼と杵は大きめの木製すり鉢と擂り粉木が出てくればよいほうであるし、あの重量感のある大きな臼が出てくることはまず望めない。どうしても、AIにとって餅の完成品は「あの大きさ(雪見だいふく)」という勘違いがあるため、室内でちょっとこねて作れるもの、あとは大福を並べる、という発想になってしまうのだろう。
さて、こういうときは、いつも考える。
臼と杵を使っている資料的な写真があったら、AIに「これを参考に描け」と読ませてしまったとして、法的に問題はあるのか、ないのかだ。仮に「ご自由にお使いください」と書いてある画像であっても、その言葉を掲載者が載せた当時は、AI学習用に自分の写真が使われるかどうかについて考えておくことはまずなかった。「ご自由に」の概念に、AI学習は含まれていなかったと考えるのが妥当である。
多くの画像を提供する有名サイトでも、自分たちが用意しているAI画像(つまりすでに自分たちが投稿元や作者から許可を得た画をAIで加工したもの)について説明する場面はあっても、自分たちが利用者に提供している画像を、素材としてAIに読ませて学習させてよいかどうかについて書いている例は、ざっと見たところ見つからなかった。
AIにも読ませてよい「臼と杵の画像」をお持ちの方は、ぜひご連絡いただければ幸いである。