すでにじゅうぶんに高齢化している日本社会だが、今後ますますたいへんだろうなと感じる機会がある。たとえば独居の高齢者で認知症の気配が出ていたとき、誰がどこまで(初期のうちに)口を出せるのかだ。
ひさしぶりに、ある店(スーパーマーケット)で不衛生な高齢者と遭遇してしまった。昭和の時代に夜の都会(たとえば新宿西口の地下通路など)で嗅いだような強い尿臭のある人だ。動きがゆっくりとはいえ自動支払機で支払いもできていて、認知症というほどでもないのかもしれないが、自宅で高齢者を見てきた経験から言わせてもらうと、あれは肌着はもちろん服をまったく変えていない匂いだ。人とあまり接することが多くなくて、自分がどのような匂いを発しているのかも気にならなくなっているのではないかと推測する。
頻繁ではないが、これまでもたまにそういった方々に遭遇した経験がある。あるときは尿臭どころか便臭で、しかも「もしかしてこのシミは、服の外側に便の一部が付いているのでは」という疑いがあった人がすぐ近くにいたことも。ちなみにその人は高齢者ではなく若そうな中年女性で、遠目に見たら服装がおかしいとは感じない動き方だった。たまたま近くに立ったとき匂いと服のシミが目にはいった。
そういった人を複数回にわたって見かけた場合、そしてそれがだいたいどこそこの誰であると見当が付くくらいの近さだった場合、その地域の人間としては、どういうタイミングで誰に話すのか、大いに悩むに違いない。
たまたまその人の生活圏に面倒見がよい、もしくは先が読める人が存在すれば、地域の担当者(たとえば民生委員など)に話を通すこともできるかもしれない。なぜならそれを放置しておくとどうなるか(悪化すればたちまちゴミ屋敷の懸念大、運が悪ければ暴力的な言動)を、身をもって知る人も増えてきているからだ。話をつなげられるならば、早めに誰かにつなげておいたほうがよい。
短期間での出入りが激しい場所であれば、何かあっても別の賃貸物件を探すという選択肢もあるが、持ち家が多い地域もけっこう存在するのである。誰かに伝えて面倒なことになるのは一瞬、伝えずに苦労するのは数年だ。
実はわたしは、不潔行為ではなく日常的な迷惑行為の例だが、どこの誰かがわかっている相手に困っていた時期がある。その人は精神的に病んでしまい、その行為があまりにもひどくてメールで区に相談したのだ。わたし以外にも迷惑を受けていた人が同じようなこと(誰かに連絡)をしたはずだが、それでも実質的な解決までに2年半かかった。
早くなんとかできるのなら早いほうがいいのだが、タイミングが難しいのだろう。
また、わたしは以前に喫茶店でアルバイトした程度しか接客の経験しかないが、食品の販売店や飲食店で、こうした初期の(無自覚な)不衛生客が来た場合、店はどういう対応をしているのか、とても気になる。ケースバイケースで考えるしかないだろうが、まさか「お客様は、ご遠慮ください(匂いますので)」と言える店は、なかなかないはず。
今後、自分もまた高齢者になっていくのだが、周囲でいろいろな事例を見てきた経験上、なんとか社会的に迷惑にならない暮らし方をしていきたいものだと考えている。