数年前にとても話題になった小説で「三体」というものがあった。Amazonで英語訳が売られていたが元々は中国語で書かれたものらしい。だが日本人で英語がそれほど苦でない人は、同じ翻訳物でも日本語版より英語訳を読んだ方が頭にはいるとの説もあり、わたしも読もうかどうか迷ううちに時間が過ぎて、そのままドラマ版を見てしまった。
見たのは30話もあるWOWOW版である。こちらは中国語。そろそろNetflixで英語版「5話」が解禁になるらしいが、ほぼ同じような内容を凝縮したということなのだろうと思う。WOWOW版はとにかく中だるみというか「ここにこんなに時間をかけるってなんだろ」と、原作をすでに読んでいた家族を尻目に、見つづけることが正しいのかと、ときに居眠りしながらつきあった。やっと見終えた。
話の内容は(原作を読んでいないので中国語のドラマ版に基づくが)有望な若手科学者らが自殺をする事例が相次いだためいったいその裏に何があるのかという追究と、秘密結社のような存在が何やら地球全体に関係する規模の謎を独り占めしていて、それをどう暴くのかという話と、そして冒頭を中心に、ドラマでお決まりの展開である主人公の私的な生活部分とが描かれたりする。
たるい。だが耐えた。そして30話目になってようやく「このシーンはよかった」というのが、ひとつふたつあった。最終話で一瞬ではあったが、ようやく見終えたという気持ちになった。
ちなみに原作はもっと先まであり、長いそうである。このドラマは第一巻のあたりを描いただけらしい。
これ、どこまでならあらすじを書いてもいいのだろう。まあ、SFであるとだけは書いておきたい。おそらくNetflix版は短いので内容が凝縮されていると思われ、興味のある方はそちらを見てみてもいいのではないだろうか。
最初に書いた、なぜ英語版のほうが頭にはいりやすい可能性があるかということだが、(一説には)日本語を母語とする人間は中国語の地名や人名などで漢字がはいった文章を読んでいると、漢字の読み方が違うために頭の中で音としてうまく再現できずストレスに感じたり、漢字というものに引きずられて読みながら気が散ってしまうのでは、との話があった。いずれにせよ読まないままにテレビを見てしまったわけだが。
終盤で、主人公ペアのうちのひとり、警察官(元軍人)が生き生きとしていた。ああ、この人が主役だったんだな。最初は学者のほうかと思っていた。