10年以内とは思うが、どれくらい前かは忘れてしまった。どこかに書いたような気もするが、ざっと検索しても見つからなかったので、このブログではないのだろう。
近所の、当時は混雑していたクリニックに順番をとりに出かけた。現在は繁盛していないという意味ではなく、当時は予約システムが充実していなかったので、午後の部の受付開始時間に医院の前にいたほうが確実だったのだ。
とのとき、わたしと初老男性が順番とりのため立っていた玄関のドアとは別の場所、まったく無関係なところに、ひとりの女性が立っていた。ただ、服装や立ち方からして順番待ちの患者には見えなかったので、まったく気にしていなかった。するとたまたまその女性が立っていた場所が自転車置き場に近かったせいか、自転車でやってきた人がひとり、そして徒歩でやってきた人がさらに、そこに並びはじめてしまった。
どう考えても異様な光景であるし、両方の列を見くらべてから通常の列であるわたしのうしろにやってきた人もいたものの、最終的にはその「別の場所の女性」のうしろにも、3人か4人が並んでしまっていた。
見かねたのか、わたしと一緒に並んでいた先頭の男性が、その(見たからに患者ではない)女性のうしろにいる人たちに、こっちですよと手招きをしたのだが、その人たちは何を思ったか、男性の手招きに「反応をしない」のである。迷ってきょろきょろするどころか、反応をしない。まるでその男性に反応しないことが決まりになっているかのように。
やがて玄関のドアが開き、受付開始と声がかかったのだが、最初からどう見ても患者ではなかった女性は、そのスタッフに書類を渡すかなにか、ちょっとした用件を済ませて、すぐさま場所を離れてしまった。
とりのこされた人たち(その人と一緒に並んでいた)は、どうしたか。あきれるとか悔しがるとかいうこともなく、たんたんとわたしたちのいる正規の列に並び直したようだった。
あの光景を思い出すたびに、何だったのだろうと思う。最初に並んでしまった自転車の女性は勘違いがあったのだろうと考えるにせよ、あとから来た人たちまでもが、なぜ通常の列以外に並ぼうとしたのか、そして何より最大の謎は、その「何らかの用件で書類を渡すためだけに立っていた女性」が、ひとこと「わたしは並んでいませんよ」となぜ言わなかったのか。じっと10分以上も複数の知らない人たちがうしろにいたわけだが、なぜ。気味が悪いと思わなかったのか。
当時どこかのブログででも、その女性が「怖かった、気味が悪かった、知らない人が何人もうしろに」と書いていたのであれば、みんなが不思議がっていたということで終わりになるのだが、真相はなんだったのだろうか。