最近ちょっとしたことをきっかけに、10年以上も前の話を思い出した。Facebookでのことだ。
いまは知らないが、当時Facebookでは誰かと友達になると「(友達になった人の)ウォールに挨拶を書こう」のような文面が表示された。それを見た人たちが素直に相手のところに出かけて「お友達になってくれてありがとう」と書いた。するとそれを見た本人または周囲の人(いずれも日本人)が、それくらいの用件で人のウォールにいちいち書くとは何事かと、怒ることがけっこうあったのだ。
書いた人はFacebookからそういうメッセージが表示されたことに従ったのだから、別に悪いことはしていない。Facebookは外国の会社でありサービスなのだから、日本人が多い場所との雰囲気で違いがあるわけだが、その会社からサービスを受けている以上は、自分の思う日本的な距離感を(ウォールは自分のものだから勝手に書かないでくれといった価値観で)、侵害されたかのように怒ることはすべきではない。
サービスの提供元が書いた正式な文面に従っただけの人に、本人または周囲の大勢が怒るというメンタリティが、わたしには理解できなかった。その人たちがまずすべきだったことはFacebookへの「そういう案内を書かないで」との要望であって、新規参加者へのブーイングではない。
あまりに見苦しかったので、ご本人にそうメッセージを送ったが、無視されただけではなく同じこと(人に怒る文面を書く)をくり返したため、その方——のちに東京都知事選に出馬したその元ジャーナリストさんを、フォロー解除した。
世の中どこでも自分の常識や仲間内の約束が通るということは、ない。ましてや外国のサービスである。友達申請をする人はだいたいが不慣れであるだろうに、まるで毎回怒っていることを把握してからでなければ申請できないような雰囲気作りも、けっこう怖い。さらに、ああいうときに「○○さんが毎回怒っているのにやはりウォールにメッセージを書いた」と合唱している方々には、日本人がネットで集まったときに表面化しやすい、悪い意味での国民性を見せつけられるようで気分が暗くなる。
ネットでサービスを利用する際には、原則として「規約や、サービス提供側からのお願いを読み、守る」だけである。登録者同士のいざこざはや人間関係は、気が合わないと思えば遭遇しないように工夫するしかない。くれぐれも、独自のルールやなんちゃってマナーを周囲に披露しないことをお願いしたい。