NTTの修理の方が午前にお見えになるため、早起きしてふたたび掃除をしていたところ、窓の外が騒がしい。そういえば隣接するお宅で解体と新築の工事があると通知が来ていた。そのお宅は敷地の一部がわが家と隣接していて、だいたいどんな人が住んでいるかくらいは知っていたのだが、入り組んだ路地の反対側から出入りする場所に位置し、日常生活に接点はなかった。
ご高齢だったので引っ越しでもされたのか、数年前から、ごくたまにしか人の気配がなくなっていた。
困ってしまったのは、そのお宅ではそれまでの住人が自ら年に数回は庭木を切っていたことだ。ごくたまにしか人の気配がなくなり、誰もまったく庭木を手入れしてくれなくなったため、わが家を含む周辺のお宅に木々の枝が覆い被さる状況に。一度だけ業者さんがはいって少しカットしてくれたのが昨年春だったが、それ以後はもう、ジャングルである。何か文句を言われたら言い返してやるくらいの気持ちで、自宅ベランダに到達しそうなものは高枝きりばさみでわたしがカットしていた。それくらいすごい状況だったのである。
さて、早朝のこと。NTTの人が来るまでのわずかな時間のことだ。大工さんたちと思われる方々が「この木、切らなきゃ何もはじまらないでしょ」、「切るよ、もちろん」、「んでは」と相談したと思ったら、轟音とともにあれよというまに枝がなくなっていく。しかも多国語が飛び交う威勢のよい現場だ。日本人の年配男性が会話にはいると日本語になり、同じ言語の人とふたりだけだと言語A、もう少し増えると言語Bという具合に、わたしがざっと聞いただけで3カ国語くらいが飛び交っていた。中国語にもいろいろあるので一概には言えないがひとつは中国語の雰囲気が感じられる言語、もうひとつは南アジアっぽい言語だったような気がするが、どうだろう。
とにかく、まずは近隣の家に伸びていた枝を下からひとつひとつ幹から切り離して担ぐように引っぱる。かなり背の高い部分の枝は、解体用の足場を組みながらその途中で切り落としたらしい。そのあとは、こちらもNTTの方が見えて応対しており細かく見ていたわけではないが、その家に防音幕が張られたのちのことはよく見えなくなった。
NTTの方は20分程度でお帰りになった。直後から光回線が復活して、電源がはいっていたルーターたちがすべて反応し、インターネットも玄関のドアカメラも、すべて自動で復活。かなり古い機材を新品に交換したという理由により、当方に支払いは生じないらしい。ありがたい。
その後、昼食を食べ、あまりの疲れに少し昼寝をしようかと思ったが、どうやら防音幕の向こうで解体が派手にはじまっているらしい。3カ国語くらいの会話に混じって、激しい破壊音が聞こえてくる。屋根や壁を手作業で壊しているのだろうか。そのお宅は入り口が狭くて、しかもその入り口がある道も狭くて、もしかしたら重機を入れるのが難しいのかもしれない。だからまず大まかな部分は人間の手で…?
それにしても、暑さと疲れでぼーっとしている無防備な頭に、多言語の刺激と大きな破壊音は遠慮なく飛びこんでくる。うとうとしながらも、かなり気になっていた。
夕方になると、防音幕はかなり上のほうまで高くなっていた。隙間から垣間見えた雰囲気では、もしかすると屋根の気配がすでになさそうである。この分ならお盆前にある程度の解体は済んでしまい、もしかすると整地もできてしまうのかも。(重機を入れられればの話だが)