Netflixに向田邦子原作のテレビドラマ「阿修羅のごとく」がはいっていた。あまり日本のドラマは好きではないが(舞台が昭和の家庭となればなおさら)、1話だけでもと見てみた。
うむむ…内容はわたしにとってけっこうダメな雰囲気なのだが、役者ウォッチングとしては楽しめた。
松坂慶子が藤田弓子に見え、尾野真千子が(あと10年もすると)大地真央に見え、夏川結衣が真野響子に見えたが、意外なことに宮沢りえと蒼井優はそのまんま受けいれることができた。
時代の求めている顔や雰囲気というのがあり、老境にさしかかった一家のお母さんはこんな感じというイメージを、藤田弓子と松坂慶子がそれぞれに演じるとしたら結果として似てしまう、ということなのだろう。外国の芸能界でもロバート・レッドフォードの若いころはブラピの若いころとそっくりだし、求められる顔、人気が出る顔の雰囲気というのに20~30周年くらいの周期があるのではないかと。
いや、それにしてもこういうビミョウなネタがホームドラマを兼ねたブラックなコメディとして成立した時代があったのだな。いま見るとわたしは滑って感じてしまうし、展開が不快。同じものを昭和時代に見せられたら見ていたのかどうかはわからないが、こういう昭和は思い出したくない昭和だ。制作者側はいま風に言うなら「現代の役者で昭和を完コピしてみました、えへっ」と自慢したいところなのかもしれないが、そう思うと昭和は別にいい時代でもなかったなと、改めて感じる。