昨日、郵便受けにポプラ社から「てのひら怪談 壬辰」と、契約書が届いていた。ビーケーワン怪談大賞の応募作から選んだ作品を書籍化しているのが、てのひら怪談。今回が最終回となる。
ビーケーワンは(先日このブログでも書いた通り)なくなってしまったので、もうこのタイトルの本も、元作品となる怪談大賞もなくなってしまったわけだが、帯には「またどこかの魔界でお会いしましょう」とある。本の後書きからの印象、そして編者の東さんのブログでの情報によると、今後また何らかの企画があるらしいので、それに期待するとしよう。
わたしにとって、ビーケーワン怪談大賞は、とても大きな存在だった。参加した初年が第4回だったが、その年から参加作品数もレベルもぐーんとアップした記念に、ポプラ社との企画が進んで、「てのひら怪談」がはじまった。わたしは2作品収録してもらえた。
初回は2作しか書かなかったのに108話の収録作品にその2作とも載せてもらえたことは光栄だった。
だが、わたしは生まれて初めての入院(しかも長期)を経験している最中に、掲載可否の連絡をメールでもらっていた。入院からしばらくして行動範囲がひろがったとき、病室にノートパソコンを持ちこむことを思いついたが、それがあと数日遅れていたら、そのありがたい収録の話を、逃していたかもしれなかった。
入院はつらかったが、連絡は嬉しかった。収録大歓迎とするお礼メールが書けたため、のちほどゲラが送られてきた。返信した。人生も生活も、がらっと変わってしまったあの時期、ビーケーワンとポプラ社から、大きな元気をもらった。
それからは、夏になったらビーケーワン怪談大賞に作品を寄せるのが楽しみになった。毎年同じように集まる(顔も知らない)作者さんたちの名前を楽しみに、ひとりで同窓会気分で作品を読んだ。参加者のみなさんの中には、掲載作業の大半を担っていたビーケーワンの辻さんという方に親しみを覚えるあまり、愛情をこめて作品題材にしてしまった人もいたほどだった。
それも、もう、終わりなのだ…。寂しい。
そう思って読むせいか、この「壬辰」は、とてもよい作品がそろっていると思う。並び順ももちろん、すばらしい。
…次がありますように。
そして前回のブログで、bk1からhontoになったとき書評欄の扱い(記入者の性別と年齢を強制公開)に納得がいかないと書いた通り、hontoに書評を提供することはいっさいやめた。しばらくはわたしのSNS「プチ道楽」で書くが、近日中に本だけを書くコーナーもしくはブログを正式オープンしようと考えている。