最近、アンバサダー制度というものを採用している企業が増えてきた。とくに、わたしが普段からネットで見ている焼き菓子関連、コーヒー関連の企業で多いように感じている。
すべての社が同じ方針かどうかはわからないが、商品を差し上げるのでネットで写真を載せたり口コミをお願いします、それ(公開)が確認できたら、次回からも優先的に案内をしますという例が、いくつか見受けられた。厳選な抽選で選ぶというよりは、同じ人でも「載せてくれる人」を優先にしていることが、文脈からすら簡単に読みとれるのである。
これは、ほんとうにその会社の商品が好きで、普段から味を知っていて応募する人にとっては、まったく生活に変化がないことかもしれない——つまり、ネットに載せるかどうかはともかく食べる可能性はもともとあったので、それが無料になるならば、対価として写真を載せることは苦ではない、ということだ。
だがその会社の商品が初めてで、送ってもらって食べてみたものがさして感動を生まなかった場合は、どうだろう。
その人のうち何割かは、画像を載せないだろう。載せないからといってカネを払えと言われるわけではないので、それで終わりである。中には「もらってしまったのだから載せないと問題かも」と、差し障りのないコメントで載せる人もいるかもしれない。だがそこでストップする。輪は広がらない。
この点から考えても、わたしが思うに、普段からファンの人と、その周辺でまだ食べたことがなかった人が知人の写真を見るしか、マーケティングとしてはあまり広がらないのではないだろうか…? いや、はたしてこれはマーケティングと呼べるのだろうか。
これまで知らなかった人にとっては、ネットで誰かが大量に写真を載せまくることで、その企業の商品は「チャンスがあればもらえる安いブランド、気軽なブランドである」という方向に意識が流れ、店で対価を払ってまで味を確かめるとは考えなくなる…ということは、ないだろうか。
杞憂であることを祈りたいが、大好きな商品を販売している企業で最近この傾向が著しく、辟易してしまった。