かつての統一教会(現在は通称として使われる)が記者会見を開くと発表してのち、それでもなお大手メディアは「宗教団体」などの表現を使用して、その名称を使わずにいた。記者会見ののちにようやく現在の正式名称と過去の名称を併記で報道を開始。なぜなら先方が大手メディアのみ記者会見に招待したためで、それを報道せずに無視する選択肢はなかったのだ。
会見直前までの(匿名での)流れを見ていたTwitterの人々は「あれはヴォルデモートだったのか」、「名前を書くと何かあるのか」と、奇異な目で見ると同時に、嘲笑していた。ヴォルデモートとは、ハリー・ポッターのシリーズで、名前を口にしただけで災いがあるように描かれていた登場人物である。
おそらくこの摩訶不思議な現象は、日本の記者クラブ制度と関係があるのだろう。警察が発表した以外のことを勝手に書くと次回からつまはじきにされるから、はみ出すことができないのだ。以前から外国メディア等に笑われている(あきれられている)悪しき慣習であり制度で、警察がどこまで記者クラブに求めているかではなく、記者クラブ内で誰もはみ出さないように相互に牽制しているのかもしれない。
外国メディアや、日本で100年以上の歴史を持つ英語メディアJapan Timesなどはこれに属していないため、書きたいことが書ける。だから今回は先に米国大手メディアWashington Postが先に旧統一教会の名前を出して記事にし、それを読んだ日本人らが狂喜した。やはり外国では書けるんだ、と。
誰もはみ出さないようにという、このがんじがらめが長くつづく日本。ちょっとしたときに目にするこの「きつい」空気が、たまらなくつらい。
なぜ統一教会の話がタブーに近い存在になっているのかといえば、政権与党(とくに安倍政権)とつながりがあると以前から目されているためだろう。自分たち(大手メディア)はそのことを掘り下げないまま長い年月が過ぎ、まったく知らなかったわけでもないだろうに、あたかも初めて聞いたかのような態度を取るのもどうかという迷いがあるのか。
いずれにせよ、高名な人物(首相経験者)が殺害されたにしては、この落ちつきぶりはなんなのだろう。現在の世の中が乱れるよりはと、とりあえず落ちついた態度をとりたいのかもしれないが、その影で事実がつぎつぎにうやむやになる。大手メディアは、いま大きなものを目にしながら、それをどうしたらいいのか扱いに迷っている。