80年代に「戸塚ヨットスクール事件」というものがあった。創設当初は名前通りにヨットスクールだったのだが、その後は、何らかの問題があり家庭で暮らしていけない子供たちがそこに行くと効果(?)がある…という口コミなどから、精神的な意味での塾のような扱いになり、子供たちが預けられるようになったと記憶している。
ところでこの事件。わたしは何回も知識を正しくしようとしたはずだが、気づくといつも「神奈川県の戸塚にあるヨットスクール」だと思ってしまっている。正しくは愛知県に所在し創設者の名字が戸塚だったのだが、勘違いをただそうとしたのは、これで何度目だろう。
いたましい事件だったが、世の中から類似事例が消えたわけではない。
近年でも、家に長く引きこもった子供(成人を含む)を、親が業者と相談して施設に強制的に移動させて問題になる事件が聞かれ、ときには訴訟にもなっている。親や関係者にしてみれば、現地での実質的な監禁や暴力がわかっていてまで業者と契約するわけではないだろうが——藁をもつかむ思いから、詳細な下調べをする余裕もなく、まかせてしまうことがあるのだろう。
数十年前の田舎では、学校に行けない子供、社会になじめず家にいる成人(その家の子供世代)が、恥ずかしいものとして世間から隠されていた。親や周囲の人間は、できるだけ家によその目を入れないようにしてきた事例があり、わたしもいくつかを見聞きしている。
ストレスや身の危険を感じてまで、学校や職場に行く必要はない。学校は転校または家で自習、職場は転職またはストレスを軽減できる何らかの業種に変更ということも検討すべきで、無理をしてはいけない。
別にどこの家の誰が何時に家にいても、気にしない人たちは確実に増えてきていると思う。
若い人たちへ。人の目を気にするな。とりあえず、ストレスを減らしつつ、明日を考えよう。