界隈の人が読めば「あー、あの家」とわかってしまうほどの建物はともかく(←超ゴミ屋敷なのだが住人は毎日そこにいて、界隈で何らかの活動をしているので、ゆっくり歩いたり、正視してはいけない)——さりげなくすごい家は、ほかにも存在する。
先日はある家の外階段にて、ところ狭しとならべた植木鉢にせっせと水をあげている女性がいた。高齢だろうが普通の動作で水やりをし、いちおう花は管理されていた。女性の感覚としては、人に見てもらうひな壇のようなものなのだろう。だがふと疑問が——もしこの家に内階段がないのならば、上階には人が住めないぞ!?
そして、別の町内。以前から「この家ってぜったい人がいないよな、2階ベランダに窓枠らしきものがズレて落ちかけているし、台風とか来たら近所を歩くの怖いよなぁ」と思っていた。そこは2軒が密接に連なっていて、おそらくかつては両方とも1階が住居で2階がアパートだったのではないかと思う。昨日たまたまその中間地点(2軒がくっついて見えるあたり)の外階段を見て、唖然。
地上から2階までゴミのような段ボールが置いてあるだけでなく、2階入り口まで「ぎゅっと」、まるで部屋に封をするようにブツが置いてあるのだ。
思わず「これって2階に人が行けるかどうかよりも、もしいたら降りてこられないまま生涯を閉じたりしてな〜、解体業者さんがなにか発見したらやだよな〜」と。
各物件の事情はわからないが、治安などの面から考えても、不安な家はけっこうある。
古いアパートレベルならばまだどこの誰が所有者か、相続人はいるのかなどの確認が取れるかもしれないが、最後の住人がひとり暮らしで高齢になってから施設にでもはいった一戸建てとか、あるいは急死してしまって連絡先が不明、もしくは関係者が遠隔地に住んで誰も「土地をどうするか」まじめに考えてくれない場合、周辺の住民は不安である。
家と家のあいだに森があるように見える場所があり、なぜ公園でもないのに森が…と目を凝らすと、内側に古い家がある、などというのは町内に何軒もある。倒壊も、木々の腐食や虫騒動も、あれこれ考えるとけっこう怖い。