自家製パン酵母の話

 このブログ(現在のmikimarulog.me)を開始したころ、ネット上に毎日たくさんのことを書き散らかしていた。元気がありあまっていた。
 そうこうするうちにブログを複数にわけなければならなくなった。食べ物、書評、健康問題、介護問題、その他あれこれである。
 分割しなければ、ひとつのブログに1日複数回、同じ場所にあれもこれも書かねばならなかった。書く文体も読む客層も違うのだから書く場所がひとつというのはさすがに無理があるだろうとの思いから、一部を外部に出した。

 だが2021年となり、毎日書いているのはこのブログだけになった。外部に出したブログたちは月に1〜2回書けばいいほうだ。それならば、せめてパン酵母の話題くらいはこちらのmikimarulogにもどしてもいいのかなと、今日はこちらに書いてみる。

 さて、自家製酵母の話をする前に、まずは「イースト」について。イーストというのは酵母の英語だ。つまり同じものである。イーストというと市販の粉末パン酵母(いわゆる「ドライイースト」)を意味して、自家製酵母というと無添加の手作り感あるもの……というのは、正しくない。だがそれがけっこう、広まってしまっている。

自家製酵母(フルーツ)
自家製酵母の準備。清潔な容器に、必要に応じて切れ目をたくさん入れた果物などを入れて水を注ぎ、数日以上待つ。

 わたしが自宅で作るパン酵母にわざわざ「自家製」と付けるのは、通例として「天然酵母という表現はなんとなくホシノ酵母を想起させる」ため、混乱をを防ぐ意味合いだ。自然酵母という呼び方をする人もいるが、天然も自然も区別していない人もいらっしゃる。わたしは「自家製」で通している。

 市販の粉末酵母(いわゆる「ドライイースト」)は添加物がはいっているとか、体によくないという考えをお持ちの方も、なかにはいらっしゃるようだ。だが実際には、誤解がある。
 添加物というものは、食品用に認められたものを定められた用法で使うことで目的を果たす(パンが焼ける)よう、設計されているものである。また、添加物という言葉自体への抵抗感もあるかと思うが、「食品に使ってよいと定められた、食品そのものではない何か」は、添加物と呼ぶしかない(そう扱うことが法的に定められている)ものなのだ。語感の問題や印象よりも、もう一歩先のところにまで目を向けていただければ、誤解が軽減されるのではないだろうか。

 パン作りそのものに慣れないうちから不確かな知識で自家製酵母に挑戦し、かえって衛生的な懸念が生じるかもしれないならば、まずは市販の粉末酵母でパン焼きに慣れ、楽しんでいただいたほうがよいかと思う。

 さて、いちおうmikimaruのパン歴を書いておくが、2003年ころにパン焼き器を買った。そのころはドライイーストだった。
 翌年くらいに製菓製パンの通信教育(日本菓子専門学校)を2年の予定で受講開始。そのころも、興味はあったものの自家製酵母には手を出しておらず、市販酵母の各種を試す程度だったのではないだろうか。
 2007年、製菓衛生師の資格を取得。
 自家製酵母だけでパンを焼くようになってからはまだ10年くらいで、それまでの数年間は市販酵母と自家製酵母を交互または混ぜたりしてパンを焼いていたと思う。

 前置きが長くなったが、自家製酵母mikimaru風。

■ 酵母液がとれるまで

○ 清潔な容器を用意。もしリンゴならば切れ目をたくさん入れ、それ以外の果物でも大きいものは切れ目を入れて、きれいな水と一緒に入れる。アルカリイオン水を使うと発酵しないので、水道水か、市販の水で。

(別に密封容器である必要はないが、1日1回~2回は横から揺するように軽く振るとよいので、内容物よりも大きめの容器がよい。わたしは「セラーメイト チャーミークリア」を使うことが多い。)
 下記のチャーミークリアの画像は楽天から。

○ 2〜3日すると水面に泡が出てきて、プチプチと大きな音も出る。(気温が低い時期は日数が長くかかる)
 軽く横に揺すったときに泡が増え、中味の果物がすべて浮いてきていたら、かなり発酵している。

○ さらに1〜2日すると、音が小さくなってきて、軽く揺すっても泡はとくに大きくならず、瓶の下に沈殿物が増えている。これで完成。
○ 別の瓶に、布を当てた漏斗などを使って、液を移す。これが酵母液である。元の瓶にあった沈殿物 (澱/おり) は入れない。

(上級者向け: このとき、まだその果物が硬さを残していて、発酵しそうな余地がある場合は、別の瓶にレーズンときれいな水を入れてこの果物をもどし、さらに追加発酵することもできる)

■ 液ができたら

○ パン種を作る。
 上記の酵母液に水を足し、少し小麦粉を入れる。
 目安として酵母150ccくらいに水を入れ、小麦粉を少し入れてはかき混ぜる。数時間~半日に1回くらいずつまた足して、どろどろに発酵してくるまで、1~3日くらい待つ。

 酵母液に水を足す割合は、酵母に使ったものがレモンなどの場合は多め(酵母液40:水60くらい)、レーズンやリンゴなどの場合は、酵母液60:水40くらい。レモンや柑橘がはいっている場合は、薄めるほうがいい。理由はよくわからないが、濃いとパン種がなかなかできない。

○ 気温が低かったり、作ってから日数が経ってからの酵母液の場合は、3日くらいかかることもあるが、気温が高かったり、作った直後の液であれば、1日でどろどろに発酵する。

 この「どろどろに発酵」の目安は、起泡がはいって、量が増えて見えること。また、発酵が進んできた場合は、かき混ぜる器具にその種があまりくっつかない。スプーン等ですくって持ち上げ、下に落とすと、器具にあまりべたべた残らないのが、発酵している目安。
 見た目としては、市販品名で恐縮だが「フルーチェ」が膨らんだような「ぷるっ」とした状態。

自家製酵母(パン種)

 それから、途中で匂いが「美味しくなさそう」なもの、「つんとくる」ものに変化しそうな兆しが見えたら、小麦粉だけでなく少量の水または酵母液を入れて、混ぜる。最終的には「やや甘い」ような香りが、よい状態。

○ こうしてできたパン種のうち、150g~200gくらいを1回分として、パンに使う。
例: パン種150g / 小麦粉 200g / 塩 4g / 砂糖 10g / スキムミルク 10g / 水(一部を牛乳にしても可) 110g / 食塩不使用バター 10g

 ちなみにこれは国産強力粉を目安にした水分なので、外国産小麦の場合は水を15g~20gくらい足すとよいかと思う。

 液種を小麦に合わせて作ったパン種は、1〜2日くらいで使いきったほうが新鮮かつ無難。
 酵母液は、10日以内くらいで使うのが無難。使い切るのが遅れれば、その分だけパン種の発酵に時間がかかるようになる。フルーツから酵母液をいつでも採れるにしておけるのが理想ではあるが、タイミングが難しい。これもパン作りの難しさであり楽しさだ。

参考リンク:
目黒区で、自宅でパン屋さん「ワルン・ロティ」を運営されている大和田聡子(おおわだとしこ)さんの本。
2004年のこの本で、mikimaruは一気に自家製酵母に開眼。