人手不足の話

 高円寺駅近くの商店街を歩いていたら、人手不足のため週末のみの営業に変更すると書かれている店飲食店を発見した。

 仮にチェーン店で接客や調理のマニュアル完備であったにせよ、業種が飲食となれば、何人かが応募したところで教えるまでに時間がかかってしまう。もし小規模店であればなおのこと、その人たちに店をまかせて自分が外出できるほどになるには数ヶ月以上かかるだろう。それを思えば、週に数日営業(ワンオペ)をする決意のほうが、簡単かもしれない。もっとも、休日が多くても家賃はかかるが。

 わたしはつねづね、「1日数時間、もしくは週に数日だけ働いてくれ」という業種はないかと、考えてきた。それでだいぶすくわれる人が、いるのではないだろうか。社会と少しでも接点を持ちたいが何らかの理由(たとえば家庭内で要介護の人がいる/いたなど)でいったん社会から切り離されてしまった人は、このままではよくないと思いつつも、いきなりフルタイムでバリバリ働くというのは精神的/体力的につらい。リハビリ期間を経てからでないと何もできない。

 おそらくファミレスやコンビニ店員ではそういう募集もあるのかもしれない。だがここで「社会から隔絶されていたのに人前で接客できるのか」というとまどいもある。

 わたし自身が人と接することを(最近ではとくに)不得手としていること、だが事務や頭脳労働など、もし自分ひとりで黙々と作業をさせてくれるような職場があるのならば、いつかは社会的に復帰できるのではという思いがあること——だがその実、世の中は正規職員でなければ待遇がひどすぎるから正規職員になりたいという考え方は、主流である。この状況において自分から「短時間、あるいは少ない日数の勤務を希望」という売り口上は、なかなか発しにくい。へたをすると労働市場で自分を含む労働者の価値を下げてしまいかねない。

 求人需要と、少しの時間からまずは社会に慣れていきたいという供給可能な層とで、うまくバランスがとれたらよいのだが。