頭と体のどちらで決まるのか

 悪い予感が的中したとき、やはり自分はすごいと思うのか、あるいは「わかっていたのに回避しなかったアホ」と思うかは、微妙なところである。

 わたしは桐野夏生の作品を読むとのめり込みすぎて体調を崩すというジンクスがあり(といっても数回だが)、今回もだいぶ迷ったあげくに「せっかくやっていたことに区切りがついたから、買って読もう」と、前から読みたかった桐野夏生作品をKindleで買ってしまった。

 15年以上前にわたしが桐野夏生の「グロテスク」を読んでいた時期に入院した話は、過去ブログへ。

引き寄せ合うもの

 そして今回わたしが「読んでみたかった〜、今回は体調を崩すなんてことはないだろう〜」と買ったのが、こちらのkindle本(リンク先はAmazon)

 出版の際に未収録になっていた短編をまとめて文庫化することになったとき、編集者に「奴隷の小説ばかり」と指摘されて、それでタイトルが「奴隷小説」になったという。

 読みたかったのだが、体を壊すか壊さないか、かなり微妙なラインだったので昨日まで買わなかった。そして買ってひと息に読んだ。桐野夏生はやはりすごいなぁ、とことん怖くしないで匂わせて終わるんだ、なるほどなるほど…と、そのときはなんとも思わなかったのだが、今朝から体調を崩して、夕方近くまで「復活できるのだろうか」と、考えた。

 まあ、ものを読んでも感情移入しすぎることのない人は、大丈夫である。それにわたしもつねづね「悪夢が原因か、体調が悪くなることを体が知っていて悪夢を見させるのか」と考えて結論が出ずにいるが、今朝もまた、すごい夢だった。

===== 見た夢のあらまし =====
 家に、わりとちゃんとした服装の中年男女(セレブっぽいと思ってほしがっている雰囲気)がやってくるが、話の内容が怪しい。わが家に誰かがとても大事なものを置いていったので自分たちがそれを探して持って帰るという。知らない人たちを家に上げることはありえないので、いったいそれはなんだというと、自分たちが部屋にはいって探してみて、そのとき「あっ、これだ」とひらめきを感じるので、まだ自分たちもそれがなんだかわからないし、言いたくない、という。

 思いっきり怪しいので帰ってもらおうとすると、そこでいきなり「セレブっぽい雰囲気を演じてみたかったけどやっぱり悪人なのだぴょん」という具合に凶暴になり、うちの家族が(身体的に)傷つけられてしまう。驚いたわたしに、家族が手で逃げろと合図をしたので、別室にはいってスマホで警察に通報。するとまもなく警察がやってくる。
 それから、どう考えても名医が10人もいたのでないかぎり命が危なそうに見えていたうちの家族が、救急隊員らしき誰かに応急措置をしてもらって、わたしと同じ部屋にくる。

 奇妙なのはそこからで、悪人なのだぴょんのふたりがまだ部屋にいて何かをあさっているのに、警察も、それ以外の人たち(誰だったんだ)も、じっと見ていて逮捕をしない。わたしが「逮捕してくれないんですか。出てってもらいたいんですけど」と言うと、もごもごと何かを言う。それを総合すると、その人たちが何を探しているかを確認して、背景がわかったら逮捕するのだそうだ。そう書くと聞こえはいいが、どうも「見つかるものが金目のものだったら、自分たちが取り上げよう」と思っている気配。

 すると、どう考えても死にそうだったはずなのにいまは普通にしている家族が、「この電球チカチカするね〜」と元を確認したところ、そこにUSBメモリのようなものを見つける。わたしたちはとっさに、何も見つけていなくて何も変わったことが起こっていないふりをしつづける。

 やがて、やっとそのセレブっぽいふりをしていた悪人だぴょんを、警察がどこかへ連れていく。そのとき警察もさんざん待ったのに美味しい話にならなかったので「この人たちがどれくらい留置されるかはわかりませんが、仲間がいるといけないし、用心はしてください」と言う。でもわたしたちは「警察も怪しいから油断できない」と考える。

 そこで、見つかったUSBをパソコンで確認するのだが(ちゃんとスタンドアロン型のパソコンでやったんだろうなと、夢の中のことなのにいま心配になった)、書くまでの半日でだいぶ記憶が薄れたが、何らかの手続きをするとカネ(昔風に書くなら現ナマ)が手にはいるとわかる。

 家族と相談する。わたしは「ヤバい問題だったら命にかかわるね」と言う。だがよく考えればそんなヤバいものをなぜ、誰が、いつ、人んち(つまりわが家)に置いていったのか、そのほうがよほど失礼で、被害者はこちらだからカネくらいもらってもいいのではという話の流れになっていく。

 そのあと、カネをとりにどこかに出かけるシーンがあったように思うが、そこで目が覚めてしまったのか、書くまでのあいだに半日あったので忘れたのか、とにかく話はここで終わる。
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 その夢を見たあと体中が痛くて、しかも胃腸もおかしくなり、あまり飲み食いしないほうがいいかということで、昼食も遅らせ、時間をかけて様子見。夕方近くになって大丈夫ということになり、散歩して、夕食も食べた。

 これでもなお、おそらく桐野夏生作品を読んで実験してしまうのかもしれない。