上皇ご夫妻のメディアでの表記

 以前から気になっていたが、最近のメディアでは「上皇さま」と「上皇陛下」の表現が混じっている。わたしがよく読むメディア(毎日新聞のウェブサイト等)では「さま」であるが、別の場所では「陛下」らしい。

 以前に図書館にこんな質問があり、回答が「レファレンス協同データベース」に掲載されていた → 2015年11月19日 一般的に皇太子には「皇太子さま」というように「さま」をつけるが,なぜ天皇陛下には「さま」をつけないのか。
また,雅子さまについては,「皇太子妃」ではなく「雅子さま」と呼ぶのはなぜか。

 同サイトは、全国から図書館が参加して知識を溜めていく趣旨のデータベースだ。この質問と答えは宮城県図書館によるもの。

 かいつまんで書くと、

 ○ 法的な称号としては、皇室典範に

> 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。

 …と定められており(つまりこの時点でまだ定めがなかった「上皇」については、太皇太后、皇太后と同様になるはずであり、現在の宮内庁の発表でもそうなっている)

 ○ また、メディア向けのハンドブック(記者がどう書くかについて)では、
 …天皇以外の皇族について、あらたまった場合を除いては「さま」を使う、という各社の取り決めがなされている場合が多い、ということである。リンク先では共同通信社と読売新聞社の案内を紹介している。

 というわけで、上記を踏まえた場合、上皇ご夫妻もしくは上皇は「さま、ではなく陛下を使おう」としているメディアがあるならば、ほかの皇室の方々も全員「さま、を使わずに殿下にしよう」と決めているのかもしれず、あるいは上皇については天皇と同じ「陛下」にすると決めているのかもしれない。いずれにせよ、その社内では共通する新たな取り決めが生じているものと思われる。