ワクチンの夢を見た

 ねんのために書いておくが、わたしはよく悪夢を見る。とくに昼間に疲れて目を閉じたときの夢がすごい。今日も配達の予定が2件あったのでできるだけ目を開けていようとしたものの、座椅子でうとうとしていたところ予定外の「エホバの証人」までやってきて、短時間に3回もチャイムが鳴った。

 さて、ワクチンの夢である。

 実は先日「まだ60歳以下だが、そのうち接種推奨年齢が低くなって、呼ばれるのだろうか」と考えていた。
 わたしは副反応が強めに出る。実際に新型コロナにも罹患したことがあるが、ワクチン接種の3回とも、副反応は実際の罹患と近い程度に不快だった。発熱と平熱が交互にやってきて調節ができず、突然に起き上がれないほど体がつらくなることもあり、二日ほどは不安で予定が何も入れられない。3回目のとき「もう、4回目はやりたくない」と、かなりまじめに考えた。

 気が乗らないと思っているうちに、60歳以下でも4回目の話が出てくるかもなぁと、そんなことを考えていたところだが、それが夢に出た。

 わたしは現実社会での医療関係者や、認可を受けた製薬会社の製品を信頼しているし、それぞれが高い職業意識で従事してくれていることを疑ってはないのだが、以下は夢である。

 接種会場を探していたわたしが迷いこんだのは、まるで普通の事務所のような雑然とした場所、なぜか勧められたハーブティには小さななにかが浮いていて(上澄みをうっかり飲んでしまったが底の方はさらにすごいものがはいっていた)、説明を求めたところ医師らしい男性が「最新式のワクチンですから、事前にそれを飲んでいる人のほうが効き目は抜群なのでお茶をだしました。おそらく詳細を説明してもわからないくらいの技術なんですが——あ、そうそう、接種から4〜5日は、蛇口からしたたり落ちる水がドロンとした液体に見えたり異物に見えたり、とにかく精神的におかしいことがありますが、気にしないでください」

 ——気にするよ、それ。

 とにかくこんなヤバい人の前からは消えなければいけないのだが、どうやって逃げようかと身構えていたら、玄関のチャイムが鳴った。それが佐川急便だったのかエホバの証人だったのかは忘れたが、とにかく起きることができた。

 ほっとした。だが、同時に感じた。

 ワクチンが怖いと思っている人(副反応がどうのという具体的な意味ではなく、なんだか得体が知れなくて怖いと感じている人)は、もしやこれくらい、怖いのではと。わけがわからず、納得ができず、それでもせかされるのが怖いのではと。

 そういう人たちが、陰謀論の話をする人たちに耳を傾けてしまうのか、あるいはせかされながらも自分の考えをまとめられるのかは、微妙なきっかけで左右されていくことかもしれないが、それにしてもこの「不安」は、社会全体として緩和の努力をしたほうがいいだろうと、自分の夢で考えさせられた。